最新記事

台湾

トランプが台湾に売った対中兵器の中身

U.S. Pushes Three Weapons Deals With Taiwan to Counter China Threat

2020年10月14日(水)17時00分
デービッド・ブレナン

人民解放軍の台湾侵攻に備えて訓練する台湾軍(2018年1月) Tyrone Siu-REUTERS

<中国の台湾侵攻を防ぐための武器売却だが、中国はそれが台湾をますます危険な立場に追い込むと警告する>

台湾の独立をめぐって中国からの圧力が高まるなか、ドナルド・トランプ大統領は、台湾への大量武器販売を進めている。

トランプ政権は10月12日、以前から準備を進めていた7種類の武器の台湾向け売却計画のうち、3種類の武器売却について議会に通知した。このところますます強硬姿勢を強めている中国共産党に対して、台湾政府を支持するアメリカの姿勢を強調する動きだ。

3種の武器売却計画を議会に通知したことを最初に報じたのはロイターだった。同時に3種類の武器が、ロッキード・マーティン社の移動式ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」と、ボーイング社の空対地巡航ミサイルSLAM-ER、F-16戦闘機用の機外携行型センサーポッドであることも報じられた。

まだ議会に通知されていないが、高度なドローン、陸上対艦ミサイル、水中に設置する機雷などの売却も予定されている。すべては、中国軍の海からの上陸を阻止することを目的としている。ロイターによれば、情報筋は、残りの4種類の武器売却計画の通知も、まもなく議会に送られるだろうと語った。

ヤマアラシ戦略を支援

アメリカは長い間、中国政府からの度重なる抗議にもかかわらず、武器の販売を通じて台湾の独立を支持してきた。中国政府は、台湾に対するアメリカの武器販売が地域の平和を脅かし、台湾もより危険な立場になると繰り返し警告してきた。

アメリカ政府は台湾を正式に国として認めていないが、1979年の台湾関係法で、中国の侵略に対して台湾の防衛を支援するという暗黙の約束がある。

台湾は、国共内戦の終結以来、敗北した国民党勢力の最後の砦として独立を維持している。中国共産党はこれまで、外交的手段であれ武器の力であれ、「一つの中国」政策の一環として、台湾を支配下に置くことを目指してきた。

国家安全保障を担当するロバート・オブライエン大統領補佐官は先ごろ、台湾は防衛方針として「ヤマアラシ」戦略を採用すべきだと語った。「ライオンは一般的にヤマアラシを食べたがらない」からだと、中国をライオンになぞらえた。

議会の承認に向けて通知された 3種類の武器売却計画は、確かに台湾のヤマアラシの針を増やす効果があるだろう。中国が台湾を武力で支配するには水陸からの攻撃が不可欠で、人民解放軍は以前から公然とその準備をしている。今回売却する武器はどれも、中国軍から台湾を防衛するためのものになるだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

EU一般裁、アマゾンの請求棄却 「巨大」プラットフ

ワールド

ジャワ島最高峰のスメル山で大規模噴火、警戒度最高に

ビジネス

中国、債券発行で計40億ユーロ調達 応募倍率25倍

ビジネス

英CPI、10月3.6%に鈍化 12月利下げ観測
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 9
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 10
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中