最新記事

2020米大統領選

トランプ陣営、郵便投票箱など監視 民主優勢地区に「軍団」動員し不正をチェック

2020年10月13日(火)17時33分

11月の米大統領選を控え、共和党は期日前投票所や郵便投票専用の投函箱を監視するとして、志願者を大規模に動員する構えだ。写真は4月、ウィスコンシン州ベロ糸で不在者投票を確認する選挙のボランティア(2020年 ロイター/Daniel Acker)

11月の米大統領選を控え、共和党は期日前投票所や郵便投票専用の投函箱を監視するとして、志願者を大規模に動員する構えだ。トランプ大統領は有権者の不正行為がまん延するという根拠のない主張を行っており、そうした主張を裏付ける証拠を見つけようというのだ。

ペンシルベニア、フロリダ、ウィスコンシンといった激戦州で、共和党の投票監視人らが不正探しに乗り出す。特に目を光らせようというのが、新型コロナウイルス感染の大流行で利用が拡大する郵便投票だ。この活動に関わる党幹部ら20人余りが明らかにした。

幹部らは、これまでに何人の志願者を受け付けたか明らかにしていないが、トランプ氏陣営は今年の選挙戦序盤で、目標は全米で5万人としている。

幹部らによると、監視人らの使命は不正行為の写真や動画を撮り、大統領選の結果を巡って法廷闘争が起きた場合に、共和党側の主張を裏付ける証拠として役立てることだ。

米国は今年、武装した市民グループが抗議活動家と各地の街頭で衝突するなど、緊張感に包まれている。そうした中で、こうした監視行為が投票を巡る小競り合いをエスカレートさせかねないと懸念する声も出ている。

共和・民主両党関係者が投票を監視すること自体は、米国の選挙で18世紀から行われている通例の慣習だ。さまざまな州法や地方自治体の規則が適用される。

もっとも投票権活動家らは、今年のトランプ氏陣営のやり方は非常に異例だと指摘する。期日前投票に焦点を絞るのも異例なら、民主党がインチキな大量の郵便投票で選挙を「盗もう」としているという、大統領およびその支持者らの根拠のない主張の証拠集めに重点を置いているのも異例だという。

この「トランプ軍団」への志願者を募るため、9月にツイッターに投稿された動画では、大統領の息子、ドナルド・トランプ・ジュニア氏が、民主党が「不正な投票用紙を数百万枚追加する」計画だという根拠のない主張を展開した。

トランプ氏は、11月の選挙結果が出たら受け入れると確約するのを繰り返し拒んでいる。9月29日の大統領選候補者討論会では支持者らに対し「投票に行って注意深く監視しろ」とあおった。

激戦州での郵便投票の申請者数は、民主党の方が大幅に多くなっている。つまり投票所での投票が始まる前の情勢では、バイデン副大統領がリードする展開となりそうだ。

歴史的に共和党が郵便投票を活用してきたフロリダ州でも、郵便投票を申請した民主党員が約250万人と、共和党の約170万人を上回っている。ペンシルベニア州では民主党の申請者数が150万人超と、共和党の約3倍に達した。

共和党側は、郵便投票を逐一監視する方針を示している。1人で複数の投票用紙を投函する様子を捉えるとして、監視カメラも設置する計画だ。

一部の州は第三者に投函を託す代理投函を認めるが、ペンシルベニア州など複数の州はこれを禁止している。政治的な対立が激しい同州バックス郡の共和党責任者、パット・ディオン氏は「全米的に監視人や監視カメラ、弁護士があふれ、混乱しそうだ」としながらも、共和党の取り組みを支持している。

民主党側と投票権活動家らは、トランプ氏が投票を保護するのではなく抑圧しようとしていると訴える。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米CB景気先行指数、8月は予想上回る0.5%低下 

ワールド

イスラエル、レバノン南部のヒズボラ拠点を空爆

ワールド

米英首脳、両国間の投資拡大を歓迎 「特別な関係」の

ワールド

トランプ氏、パレスチナ国家承認巡り「英と見解相違」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 10
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中