最新記事

韓国

韓国・動物愛護センター「はねられた犬を保護、治療費が払えず困ってる」 まさかの募金詐欺が続々

2020年10月12日(月)20時10分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

怪我をした動物のため募金を呼びかける投稿をインスタグラムに投稿したが…… KBS News / YouTube

<痛々しい動物の姿に多くの人が胸を痛め、回復を願って募金を送ったのだが──>

SNSが世の中に浸透し、自分のメッセージを一瞬にして世界中にシェアすることができるようになった。最近では、クラウドファンディングなどで投稿した人の気持ちに共感した人たちが、オンラインを通じ手軽に募金も行えるようになり、困っている人の助けにもなっている。

しかし、便利な世の中になると、残念ながらそれらを悪用しようとする人も増えてくる。先日、韓国のあるSNS投稿から動物を使った募金詐欺が発覚し、波紋を広げている。

9月8日、ある動物愛護センターが、インスタグラムに犬の手術治療費募金の呼びかけを始めた。そこには「道ではねられた犬を保護した。しかし、動物病院の治療費が払えず困っている。助けて欲しい」という説明とともに、治療を受けながら横たわる犬の写真が投稿されていた。

その2日後の10日には、「息も絶え絶えで、容態はあまり良くない」と投稿され、このインスタグラムを見た多くの愛犬家たちは、犬の手術費用にと送金を始めた。たった数日間で集まった金額は、609万ウォン(約60万円)にものぼったという。しかし、翌日11日には、「前日の夜に犬が亡くなってしまった」という悲報が写真と共に投稿された。

予想以上の募金が集まってしまい......

ところが、この犬は救助された8日の午後1時57分に動物病院に運び込まれ、夕方5時過ぎには既に亡くなっていた、という事実が発覚した。動物愛護センターは、既に亡くなった犬の姿を写真に撮り、あたかも生きているように演出して募金活動を続けていたのだ。

その後、動物愛護センター側は「思いのほか多額の募金が集まったため、センター内の他の犬たちの治療費に充てようと嘘をついてしまった」と、事実を認めている。動物愛護センターでは、治療が必要な犬を動物病院に入院させたものの、完治後もお金が払えず退院できないままの犬がいる経済状態だったとし、現在募金は、送金者の元へ返金を開始しているという。

動物愛護活動のユーチューバーの実態は

動物を利用した募金詐欺が注目を集めたのは今回が初めてではない。今年の5月8日、韓国大統領府のウェブサイトにある国民請願掲示板に「詐欺、動物虐待をしたユーチューバー"ガプス牧場"の獣医大除籍を要求する」という請願が投稿された。

"ガプス牧場"は、現役獣医大生が配信している動物系ユーチューブチャンネルだ。野良犬や野良猫を保護し、里親を見つけるまでを追った動画配信で、フォロワー数も50万人を超えるほどの人気があり、多くのサポーターたちが動物を助けるために募金も行っていたという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

焦点:税収増も給付財源得られず、頼みは「土台増」 

ワールド

米、対外援助組織の事業を正式停止

ビジネス

印自動車大手3社、6月販売台数は軒並み減少 都市部

ワールド

米DOGE、SEC政策に介入の動き 規則緩和へ圧力
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    世紀の派手婚も、ベゾスにとっては普通の家庭がスニ…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    あり?なし? 夫の目の前で共演者と...スカーレット…
  • 9
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中