最新記事

航空機

米国防総省「航空機内のコロナ感染リスクは極めて低い」 ただし感染者1名で搭乗時の移動など考慮せず

2020年10月16日(金)11時48分

米国防総省は、航空機内で新型コロナウイルスに感染するリスクは極めて低いとする調査報告書を発表した。コロナの打撃から立ち直ろうとする航空業界にとっては朗報になる。写真は中国・四川航空の機内で6月撮影(2020年 ロイター/Carlos Garcia Rawlins)

米国防総省は15日、航空機内で新型コロナウイルスに感染するリスクは極めて低いとする調査報告書を発表した。コロナの打撃から立ち直ろうとする航空業界にとっては朗報になる。

調査は軍人やその家族らによる米民間航空機での移動を管轄する「トランスポーテーション・コマンド」が主導し、調査資金も拠出。それによると、機内が満席であっても、マスクをして着席した搭乗者の頭部周辺の「呼吸域」では、漂う粒子の割合は平均0.003%だった。感染者は機内に1人との想定で、搭乗者の客室内での移動は勘案していない。

実験は米ユナイテッド航空のボーイング777と767で実施。機内の換気機能については、急速空気循環システムやフィルター装置で6分以内に客室内の粒子のほぼ99.99%を除去できたとした。

感染に至る可能性が高い量の粒子を吸入するには、感染者が1人いる機内で54時間の飛行時間が必要になるとも指摘した。

約半年の調査では飛行時間で計38時間、着陸状態で計45時間、300回の検出テストを実施した。新型コロナウイルスと同じ大きさの粒子を客室の区域ごとに放出し、乗客に見立てたセンサーを区域ごとに計42個設置した。いずれのテストでも、咳数千回分に相当する1億8000万個の粒子を放出させた。

今回の調査は、近くの席でだれかが席をしても、マスクをしていれば感染リスクを抑えられる可能性を示す。

ユナイテッド航空の顧客担当責任者は「今回の結果は、ユナイテッド機では、たとえ満席でも感染リスクはほぼないことを意味している」と述べた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・強行退院したトランプが直面する「ウィズ・コロナ選挙戦」の難題
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ



ニューズウィーク日本版 豪ワーホリ残酷物語
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月9日号(9月2日発売)は「豪ワーホリ残酷物語」特集。円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代――オーストラリアで搾取される若者のリアル

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪GDP、第2四半期は前年比+1.8%に加速 約2

ビジネス

午前の日経平均は反落、連休明けの米株安引き継ぐ 円

ワールド

スウェーデンのクラーナ、米IPOで最大12億700

ワールド

西側国家のパレスチナ国家承認、「2国家解決」に道=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 5
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 6
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 7
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 10
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中