最新記事

韓国

ビルボードHOT100首位獲得したBTS、韓国政府は兵役免除させるのか

2020年9月13日(日)18時40分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

VIACOM/Handout via REUTERS

<アイドルが世界的な活躍をすると法律改正が議論されるのはなぜなのか──>

今年は、コロナの影響で多くのエンターテインメントが大きな打撃を受けた一方で、韓国発Kカルチャー躍進の年でもあった。映画『パラサイト 半地下の家族』の米国アカデミー賞4冠受賞をはじめ、ネットフリックスの配信をきっかけに『梨泰院クラス』や『愛の不時着』などの韓国ドラマの世界的ブーム。また、K-POPガールズグループBLACKPINKは、ヒット曲『DDU-DU DDU-DU』のミュージックビデオのYouTube再生回数が、昨年11月に韓国のアイドルとして初めて10億回再生を記録した(9月5日には13億回を突破)。

そんななか、先月31日また新たな記録達成のニュースが飛び込んできた。韓国を代表する人気男性アイドルBTS(防弾少年団)の新曲『Dynamite』がアメリカビルボードのシングルチャートHOT100で1位になったのだ。

これは、韓国人では初めての偉業であり、2012年に一世を風靡したPSYの『江南スタイル』でさえ7週連続の2位どまりだった。これまでアジア人では唯一、坂本九の『上を向いて歩こう(英題:SUKIYAKI)』が3週連続1位を達成したが、これに続いて2組目となる。また、BTSは2018年5月にアルバムチャートHOT200で『LOVE YOURSELF 轉 "Tear"』が1位を獲得しており、両方で1位を獲得したのはアジア人初だ。

この大記録は韓国をはじめ海外でも大きく報道されることとなったが、それと同時に、韓国では「BTS(防弾少年団)メンバーの兵役免除を!」という声も高まりを見せている。

BTS、12月にはメンバーが軍隊入り?

韓国と日本の大きな違いの一つと言えば、徴兵制度があることだ。韓国男性は成人を迎えると兵役義務がある。身体検査の結果や状況によって多少異なるが、一般的に陸軍は18カ月、海軍は20カ月、空軍は22カ月服役しなければならない。

ただし、入隊通知が来ても本人が在学中だったり、一部認められた大学浪人生だったりする場合は、入隊時期を最大28歳まで延期することが可能だ。芸能人もよく大学卒業後、大学院に進学するなどの方法で入隊を延期することが多いが、基本的に28歳の誕生日以降は在学中であっても入隊せざるを得ない。BTS(防弾少年団)の最年長メンバーであるジンは、今年の12月4日で満28歳の誕生日を迎える。

韓国文化を世界に広めることに大きく貢献したBTS(防弾少年団)に徴兵特例を!という声が高まり始めると、政界も早速動き出した。ビルボードでの1位獲得の発表から4日後の9月3日には与党「共に民主党」のジョン・ヨンギ議員によって、兵役法改正案・通称"BTS法"が発議された。改正案によると功績を認められた芸術人は入隊時期を満30歳までとし、従来より2年延期が可能になる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インドの卸売物価、11月は前年比-0.32% 下落

ビジネス

日経平均は反落、ハイテク株安い 日銀利上げ観測でT

ビジネス

フジHD、33.3%まで株式買い付けと通知受領 村

ワールド

香港民主派メディア創業者に有罪判決、国安法違反で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 5
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中