最新記事

日本政治

菅義偉官房長官、自民総裁選に出馬表明 「安倍政権の政策継承し前進させる」

2020年9月2日(水)19時15分

菅義偉官房長官は会見し、安倍晋三首相の後継を決める自民党総裁選に出馬することを正式に表明した。都内で記者会見する菅氏(2020年 ロイター/Issei Kato)

菅義偉官房長官は2日夕に会見し、安倍晋三首相の後継を決める自民党総裁選に出馬することを正式に表明した。アベノミクスを含めた安倍政権の政策を継承、前進させると強調。大規模金融緩和を進める日銀との関係も、安倍首相の手法を引き継ぐと語った。

会見冒頭では雪深い秋田の農家で生まれ徒手空拳で横浜市議からたたき上げた半生を紹介。「地方を大切にしたい思いを胸に抱き政策を実行している」と強調し、安倍首相をはじめとした二世、三世議員との違いを際立たせた。

首相辞任表明後に熟慮


菅氏はこれまで公式の場で首相への意欲を一度も表明していないが、「この国難にあって政治の空白は決して許されない」として、出馬は「道半ばの首相辞任表明後に熟慮を重ねて判断した」と説明した。

政策面では「新型コロナ対策を最優先するのが務め」と強調するとともに、「安倍首相が全身全霊を傾けて進めてきた取り組みをしっかり継承し、さらに前に進めるために持てる力を尽くす」と述べた。

状況みて金融政策「更にしっかり進める」

政府・日銀が第2次安倍政権発足直後に結んだ政策協調を維持するかとの質問に対して「アベノミクスの成果で、経済が厳しい状況でも為替がドル円105円だ」と強調した。

金融政策の出口戦略を問われると、「今の(経済)状況では雇用を守るため、状況をみて金融政策を更にしっかり進める」とし、強力な金融緩和と財政出動を柱とする「アベノミクスはしっかり責任を持って前に進めていく」と明言した。

これまで菅氏が取り組んだ政策実績としては、携帯電話料金の引き下げを挙げ、今後も事業者間で競争が働く仕組みを徹底したいと語った。省庁の縦割りを廃した水害防止のダム放流も実績として披露した。

今後は、これまで注力してきた地方の活性化や、北朝鮮による日本人拉致問題の解決にも取り組む考えを表明。コロナ対策を念頭に「目の前の危機を乗り越え、少子高齢化や外交安全保障、とりわけ拉致問題、憲法改正など山積する課題に取り組む」と語った。

自民党内で検討されている敵基地攻撃能力の保有については、与党と議論して進めると述べた。

森友「結論出ている」、政府は国民からの信頼必要

安倍政権の負の遺産とされる森友学園・文書改ざん問題については、「財務省、検察の捜査も終わっておりすでに結論が出ている」との認識を示した。桜を見る会については「国会での指摘を踏まえ開催を中止し今後のあり方を見直している」と説明した。

同時に「国の基本は、『自助、共助、公助』だ。自分でできることは自分でやり、地域や自治体が助け合い、政府が責任を持って対応するという、国のあり方を目指すには、国民から信頼され続ける政府でなければならない」とも述べた。

(竹本能文、中川泉)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・風雲急を告げるポスト安倍レース 後継候補の顔ぶれは?
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・「アベノミクスは買い」だったのか その功罪を識者はこうみる
・韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪魔編集」がはびこる


20200908issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年9月8日号(9月1日発売)は「イアン・ブレマーが説く アフターコロナの世界」特集。主導国なき「Gゼロ」の世界を予見した国際政治学者が読み解く、米中・経済・テクノロジー・日本の行方。PLUS 安倍晋三の遺産――世界は長期政権をこう評価する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7外相、イスラエルとイランの対立拡大回避に努力=

ワールド

G7外相、ロシア凍結資産活用へ検討継続 ウクライナ

ビジネス

日銀4月会合、物価見通し引き上げへ 政策金利は据え

ワールド

アラスカでの石油・ガス開発、バイデン政権が制限 地
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 6

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 10

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中