コラム

抽象的で理解の難しい『2001年宇宙の旅』が世に残り続ける理由

2025年08月21日(木)15時10分

ILLUSTRATION BY NATSUCO MOON FOR NEWSWEEK JAPAN

<1968年に公開され、世界を驚愕させたキューブリック監督の『2001年宇宙の旅』。説明が足りないからこそ宇宙への畏怖を僕は実感した>

3カ月ほど前からChatGPTを使い始めた。遅い。自分でも思う。いつもこうだ。人より遅れる。鈍いのだ。気付けばみんなはずっと前を走っている。

でも周回遅れで集団から離れるからこそ、見えたり発見できたりすることがある。


ただしChatGPTについては、早く使うべきだったと後悔した。それほどに優秀だ。

日本語も完璧。ウィットやユーモアもある。時おり間違える。それがまた人間ぽい。指摘すると(少し困惑したように)手短に謝罪する。しつこく責めたら切れるのだろうか。関係を壊したくないのでまだ試していない。

1968年、アーサー・C・クラークとスタンリー・キューブリックが共同で原案を書き脚本化して、キューブリックが監督した『2001年宇宙の旅』が発表されたとき、世界は驚愕した。......と書いてしまうとチープなキャッチコピーのようだが、でも実際に同年の年間世界興行収入で1位を記録している。

CGやドローンなどない時代に(冒頭に出てくる猿人たちはいかにも着ぐるみだ)、フロントプロジェクションやスリットスキャンなどアナログVFXを駆使して再現された宇宙空間やディスカバリー号の映像は、いま観ても圧倒的にリアルで壮大だ。

プロフィール

森達也

映画監督、作家。明治大学特任教授。主な作品にオウム真理教信者のドキュメンタリー映画『A』や『FAKE』『i−新聞記者ドキュメント−』がある。著書も『A3』『死刑』など多数。

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