最新記事

コロナと脱グローバル化 11の予測

コロナで「脱グローバル化」なんてあり得ない──は本当か?

2020年8月26日(水)17時25分
森田優介(本誌記者)

dam_point-iStock.

<人と物の往来が途絶えた今、欧米では「グローバル化」の行く末が盛んに論じられている。いつか元通りになるのか、それとも世界秩序は形を変えるのか。例えば、コロナ禍で大打撃を受けた観光業はどうなるのだろうか>

『コロナ後の世界』(文春新書)、『アフターコロナ 見えてきた7つのメガトレンド』(日経BPムック)、『コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画』(文藝春秋)......。

新型コロナウイルス感染症が世界を覆い尽くし、その長期化が明らかとなる中、コロナ時代を展望した書籍が人気を博している。

雑誌やテレビ、新聞、ウェブメディアでも、業界ごとの影響を特集したり、個人の働き方に焦点を当てたりした記事が出ており、「これから世界がどうなるか」は人々の関心事だ。そしてもちろん、議論が盛んになっているのは日本だけではない。

とりわけ欧米で盛んに論じられているテーマのひとつが「グローバル化」だ。感染症が地球の隅々にまで蔓延し、あらゆる国が国境を閉ざし、人と物の往来が途絶えた。当たり前のように他の国に行けた「グローバル化した世界」は、瞬時にして姿を消した。

いつ元に戻るのか?

何十年と世界経済の発展を牽引してきたグローバル化が終わり、世界はこれから「脱グローバル化(deglobalization)」していくと、本気で考えている人はそう多くないのかもしれない。

しかし、例えば働き方について、以前と全く同じに戻ることはないなどと言われるように、あるいはキャッシュレス化など、以前から始まっていたデジタル化が加速するなどと言われるように、「グローバル化した世界」も完全には元通りにならないのではないか。

ニューズウィーク日本版では8月25日発売号で「コロナと脱グローバル化 11の予測」特集を組み、国内外11人の識者に、新型コロナ禍でグローバル化がどうなるか、それが特定の業界や分野にどのような影響を与えるかを論じてもらった。
20200901issue_cover200.jpg
その1人、国際政治学者の細谷雄一・慶應義塾大学教授は、グローバル化の後退は既に10年近く前から論じられていたことを指摘しつつ、「グローバル化とはそもそも多面的で複合的」だと、安易な脱グローバル化論にくぎを刺す。

【関連記事】コロナでグローバル化は衰退しないが、より困難な時代に突入する(細谷雄一)

一方、同じく特集寄稿者のウィリアム・ジェーンウェイ(ベンチャーキャピタリスト)は、グローバル化の第2波は2008年のリーマン・ショックと今回のパンデミック(世界的大流行)を機に「後退」局面に入るとしている(ジェーンウェイはグローバル化には2つの波があり、第1波は第1次大戦でピークを迎えたとする)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:闇に隠れるパイロットの精神疾患、操縦免許剥奪

ビジネス

ソフトバンクG、米デジタルインフラ投資企業「デジタ

ビジネス

ネットフリックスのワーナー買収、ハリウッドの労組が

ワールド

米、B型肝炎ワクチンの出生時接種推奨を撤回 ケネデ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中