最新記事

ゲーム

韓国、日本製品不買運動はどこへ? ニンテンドー「あつまれ どうぶつの森」大ヒットが示すご都合主義

2020年6月19日(金)18時10分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

ゲーム中継をしたお笑い芸人が炎上

そんな、"ご都合不買運動"疑惑で一人のお笑い芸人が炎上している。人気芸人ユ・ミンソンは、最近自身のYouTubeチャンネルを立ち上げ、ゲーム実況系ユーチューバーとしてデビューした。そこで「あつ森」のゲーム実況動画をアップロードしたところ、一部の不買推進派から批判の的にされてしまったのだ。

ネット上での批判意見をまとめて見ると、ユ・ミンソンは、自身の出演している地上波放送局KBSの人気お笑い番組『ギャグコンサート』の昨年8月11日放送回で日本製品不買運動を支持する姿勢を見せていた。

ところが、日本製品の「あつ森」を買い実況を行ったことで「ゲームの宣伝も行ったも同然」という厳しい意見が多い。しかし、ユ・ミンソン側の主張は、当時番組上では「アイデア研究所長」という役どころで、番組のコーナーの司会を担当しただけであって「日本不買運動に意見した覚えはない」と主張している。しかし、批判を受けて彼のユーチューブチャンネルでは、今もすべての動画が非公開設定になったままだ。

それでも売れるSwitch

こうした不買運動にまつわる騒ぎをよそに、Nintendo Switch本体のその後も売り上げは好調で、現在も売り切れ続出で買いたくても買えない状況が続いている。韓国のニュース報道によると、今年の子供の日のプレゼントでSwitchは1番人気だったそうだ。

このようなニュースを耳にすると、無条件で「日本企業=不買しよう」という運動はもう古いのかもしれないとさえ思える。各企業の信念に反対なら不買をして反対意見を示すのは個人の自由であり、れっきとした主張方法だ。しかし、国籍などでひとくくりにして、その抗議運動を人にまで押し付ける単純すぎる考えは、これからの時代に合っていない気がする。今回の「あつ森」人気をきっかけに、個々を見て判断する考えが生まれ始めているのだと、思いたい。


【話題の記事】
・東京都、新型コロナウイルス新規感染41人 6月の感染合計440人に
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・米6州で新型コロナ新規感染が記録的増加 オレゴンでは教会で集団感染
・街に繰り出したカワウソの受難 高級魚アロワナを食べたら...


20200623issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月23日号(6月16日発売)は「コロナ時代の個人情報」特集。各国で採用が進む「スマホで接触追跡・感染監視」システムの是非。第2波を防ぐため、プライバシーは諦めるべきなのか。コロナ危機はまだ終わっていない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシアが政府職員の出国制限強化、機密漏洩を警戒=関

ビジネス

G20、米利下げ観測後退で債務巡る議論に緊急性=ブ

ビジネス

米EVリビアンが約1%人員削減発表、需要低迷受け今

ビジネス

USスチール買収計画の審査、通常通り実施へ=米NE
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 4

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 5

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 6

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 7

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 8

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 9

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 10

    紅麴サプリ問題を「規制緩和」のせいにする大間違い.…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中