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感染症対策

新型コロナ収束で消える「感染ホットスポット」 ワクチン開発の障害に

2020年6月6日(土)13時07分

リスク高い「チャレンジ」治験も

製薬業界における懸念の高まりを裏付けるように、アストラゼネカのパスカル・ソリオットCEOは、同社の研究者らが、いわゆる「チャレンジ」治験の実施さえ検討中だと語る。

参加者に試作ワクチンを投与した後、効果を確認するために人為的に新型コロナウイルスに感染させる方法だ。こうした治験はめったに行われず、リスクは高く、倫理面での承認を得るのも難しい。

もっと現実的で手っ取り早い方法もある。ソリオットCEOなどの人々は、治療薬・ワクチンの治験に適した場所として、COVID-19の感染拡大がまだ続いており、ピークに達していないブラジルをはじめとする南米諸国、アフリカの一部諸国に注目している。

ブラジル保健省は、モデルナやオックスフォード大学などさまざまなワクチン開発者を相手に、治験参加に関する協議を進めている、と話している。ブラジル保健省は、ブラジル国民が「できるだけ早い時期に」ワクチンを利用できるようにするのが目標だと言う。

パンデミックが衰えつつある諸国でワクチンのフェーズ2治験に向けた参加者を集めることの難しさには、すでに前例がある。ジェネリック薬剤ヒドロキシクロロキンやギリアドの「レムデシビル」など、COVID-19に関する有望な治療法に関して世界保健機構(WHO)が試みた多国間での「ソリダリティ(連帯)」治験のケースだ。

この治験に参加したスイスでは、当局から倫理面・規制面での承認をすべて揃えるのに3週間を要し、すべての治療薬を入手するのにさらに1週間を要した。感染症専門家として「ソリダリティ」調査スイス担当コーディネーターを務めたオリオル・マニュエル氏が語った。

「ローザンヌ(のある治験センター)では、何人かの患者を集めることができた」とマニュエル氏は言う。「だが、すべてのセンターで準備が整う頃には、幸か不幸か、症状はすでに消えてしまっていた」

(翻訳:エァクレーレン)

[ロイター]


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