最新記事

感染症対策

最低1mの対人距離とマスクがコロナ感染リスク抑制に有効

2020年6月2日(火)11時55分

コロナウイルスの感染経路に関する研究結果をまとめたレビューによると、少なくとも1メートルの対人距離確保と、マスクおよび目を保護する防護具の着用が、COVID─19(新型コロナウイルス感染症)のリスク抑制に最善の策であることが分かった。写真は6月1日、ノリッジのマーケットで撮影(2020年 ロイター/Andrew Couldridge)

コロナウイルスの感染経路に関する研究結果をまとめたレビューによると、少なくとも1メートルの対人距離確保と、マスクおよび目を保護する防護具の着用が、COVID─19(新型コロナウイルス感染症)のリスク抑制に最善の策であることが分かった。

頻繁な手洗いや適切な衛生管理も非常に重要だが、すべての対策を講じてもリスクを完全に取り除くことはできないことも示された。

英医学誌ランセットに掲載された今回のレビューは、コロナウイルスによって引き起こされるCOVID─19、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)の感染対策について16カ国で行われた172の研究の結果をまとめたもので、コロナウイルスの感染経路に関するレビューとしてはこれまでで最大規模。

COVID─19対策を巡り時に矛盾する助言を行ってきた各国政府や保健機関の指針として役立つ可能性がある。

COVID─19は通常、せきなどで出た飛沫が直接または物の表面を介して目、鼻、口から体内に入り、広がることが示されている。

今回のレビューでは、少なくとも1メートルの物理的距離を確保することでCOVID─19が広がるリスクが低下し、2メートルの距離を確保すればさらに効果的であることが分かった。マスクや目の防護具の着用については、予防効果を高める可能性があるものの、物理的距離の確保ほど明確な証拠は得られていないと結論付けた。

研究者らは、レビューを行った研究の多くはSARSとMERSに関するものだったため、COVID─19への適用には限界があるとも指摘した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・東京都、新型コロナウイルス新規感染13人 再び2桁台に
・検証:日本モデル 西浦×國井 対談「日本のコロナ対策は過剰だったのか」
・なぜブラジルは「新型コロナ感染大国」へ転落したのか
・WHOに絶縁状、トランプの短気が招く「世界公衆衛生危機」の悪夢


20200609issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月9日号(6月2日発売)は「検証:日本モデル」特集。新型コロナで日本のやり方は正しかったのか? 感染症の専門家と考えるパンデミック対策。特別寄稿 西浦博・北大教授:「8割おじさん」の数理モデル

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結

ワールド

英、中東に戦闘機を移動 地域の安全保障支援へ=スタ

ワールド

米首都で34年ぶり軍事パレード、トランプ氏誕生日 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 3
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生きる力」が生んだ「現代医学の奇跡」とは?
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    メーガン妃の「下品なダンス」炎上で「王室イメージ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 7
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中