最新記事

感染症対策

WHO「武漢の市場で追加調査を」 新型コロナウイルス発生源解明に

2020年5月9日(土)08時35分

世界保健機関は8日、中国武漢市の卸売市場が新型コロナウイルスの感染拡大に関連しているとの見解を示した上で、さらに調査する必要があると述べた。写真は3月30日、新型コロナ感染を受けて閉鎖された武漢の市場(2020年 ロイター/Aly Song)

世界保健機関(WHO)は8日、中国武漢市の卸売市場が新型コロナウイルスの感染拡大に関連しているとの見解を示した上で、さらに調査する必要があると述べた。

中国当局は1月、新型ウイルスの感染拡大を防ぐ対策の一環として武漢の市場を閉鎖したほか、野生動物の売買や消費を一時的に禁止した。

WHOの食品安全と人獣共通感染症の専門家、ピーター・ベン・エンバレク博士は記者会見で「市場が感染拡大に関連していることは明らかだ。発生源だったのか、感染が拡大した場所だったのか、それともたまたま一部の症例が市場や周辺で確認されたのか、どのように関係していたかは分からない」と述べた。生きた動物、もしくは感染した業者や客が市場にウイルスを持ち込んだのかは明らかでないとした。

ポンペオ米国務長官は、武漢市の研究所が新型ウイルスの起源だとする「かなりの証拠がある」と発言したが、確定的ではないとしいている。

武漢市の研究所が新型ウイルスの起源だとする明白な証拠はなく、科学者は発生源は動物のようだという見解を示している。独シュピーゲル誌は、ドイツの情報機関がポンペオ氏の主張に懐疑的な見方を示したと報じた。

ベン・エンバレク氏はポンペオ氏の発言には触れなかった。

また、2012年にサウジアラビアで発生し中東に広がった中東呼吸器症候群(MERS)の発生源がラクダだと特定するのに1年かかったと指摘し、「まだ遅くない」と指摘。「重要なことは、人に移る前のウイルスを特定することだ。そうすれば、どのように人に感染したのか、どのように進化したのかについて理解が深まる」と語った。

今後の調査について「中国はほぼ確実に全ての専門性を持ち合わせているだろう。非常に適切な研究者がたくさんいる」とした。

アジアで多く見られる生鮮市場は、生鮮食品や魚などの生き物を野外で売っているが、ベン・エンバレク氏は、生き物を販売する世界各地の市場の多くに規制強化と衛生状態の改善が必要で、一部は閉鎖すべきだと指摘。「ただ、大半の市場は改善することができる」とも述べ、多くの場合、廃棄物処理や人の移動や物流の管理、そして生き物を動物性食品や生鮮食品と分けることが鍵だと指摘した。

[ジュネーブ ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・新型コロナ規制緩和の韓国、梨泰院のクラブでクラスター発生
・コロナ独自路線のスウェーデン、死者3000人突破に当局の科学者「恐ろしい」
・東京都、新型コロナウイルス新規感染39人確認 7日ぶり増加、累計4810人
・トランプ、新型コロナ検査で再び陰性 ホワイトハウスの世話係が感染


20050512issue_cover_150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年5月5日/12日号(4月28日発売)は「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集。パックン、ロバート キャンベル、アレックス・カー、リチャード・クー、フローラン・ダバディら14人の外国人識者が示す、コロナ禍で見えてきた日本の長所と短所、進むべき道。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

経産省、ラピダスへの6315億円の追加支援決定 総

ワールド

宇宙船オリオン、4人乗せ地球に無事帰還 月の裏側を

ワールド

アングル:イラン戦争でインフレ再燃、トランプ政権に

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、中東停戦維持期待で安全資産
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 4
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 5
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 6
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 7
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 8
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 9
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 10
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 7
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 8
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 9
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 10
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中