最新記事

感染症対策

安倍首相「緊急事態宣言5月31日まで延長、14日の専門家評価で一部地域の部分解除も」

2020年5月4日(月)18時05分

安倍晋三首相(写真)は、新型コロナウイルス感染症対策本部で、5月6日までとしていた緊急事態宣言を全都道府県を対象に5月31日まで延長すると正式発表した。代表撮影(2020年 ロイター)

安倍晋三首相は4日、新型コロナウイルス感染症対策本部で、5月6日までとしていた緊急事態宣言を全都道府県を対象に5月31日まで延長すると正式表明した。新規感染者数は減少傾向にあるものの十分ではなく、医療体制のひっ迫に配慮する必要があると判断した。もっとも感染者数の少ない地域は一部規制を緩和するほか、14日にも専門家に状況を評価してもらい、可能と判断すれば地域によって早期解除も検討する。

安倍首相は「日本は諸外国のような(感染の)爆発的拡大には至っていない」としつつ「新規感染者数の減少が十分なレベルとは言えない。引き続き医療体制がひっ迫している地域がみられるため、現在の取り組み継続が必要というのが専門家の見解」と説明した。

緊急事態宣言は4月7日に東京都など7都府県を対象に発出し、4月16日には対象を全国に拡大していた。

ただ、感染状況は東京・大阪など大都市圏と、地方で大きな隔たりがある。このため、7日以降は、東京・大阪・北海道など感染者の多い13の「特定警戒都道府県」とその他の34県で対応を分ける。

34県では県外移動や接待を伴う飲食店を除き自粛要請を行わず、少人数イベントを容認するなど条件緩和を進める。特定警戒都道府県でも、公園や博物館などは開放可能とする。

今後、10日後をめどに専門家会議で感染状況を分析する方針。西村康稔経済再生相は延期方針を説明した4日の参院議院運営委員会で、特定警戒地域以外の34県については感染状況に応じて、1)特定警戒地域への指定、2)早期解除、なども検討される見通しで「解除に向けた移行期間」と説明した。

専門家会議では感染の小規模な拡大は長期にわたり継続するとの意見もあり、人と人との接触を長期にわたり削減する「新しい生活様式」を提唱し始めている。与野党からは「いつまで続くのかが一番不安」(自民・佐藤啓参院議員)との声が出ており、出口戦略が今後の焦点のひとつとなる。

また自粛延長に伴う飲食店など中小規模事業者への対応も求められる。4月30日に成立した20年度補正予算は、全国一律10万円支給や、中小企業・個人事業主への200万円、100万円支給など緊急経済対策の内容が盛り込まれているが、2月末からスタートした政府の外出自粛要請は実質3カ月目に突入。1)家賃支援、2)雇用調整助成金の引き上げ、3)学生支援も急務となっており、与野党から2次補正予算の議論が出始めている。自民党若手議員や国民民主党などからは国債発行による真水100兆円の対策要望が出ている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・「集団免疫」作戦のスウェーデンに異変、死亡率がアメリカや中国の2倍超に
・東京都、新型コロナウイルス新規感染91人確認 都内合計4568人に(グラフ付)
・『深夜食堂』とこんまり、日本人が知らないクールジャパンの可能性
・感染深刻なシンガポール、景気悪化で新型コロナ対応措置を段階的に解除へ


20050512issue_cover_150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年5月5日/12日号(4月28日発売)は「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集。パックン、ロバート キャンベル、アレックス・カー、リチャード・クー、フローラン・ダバディら14人の外国人識者が示す、コロナ禍で見えてきた日本の長所と短所、進むべき道。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

根強いインフレ、金融安定への主要リスク=FRB半期

ビジネス

英インフレ、今後3年間で目標2%に向け推移=ラムス

ビジネス

米国株式市場=S&Pとナスダック下落、ネットフリッ

ワールド

IMF委、共同声明出せず 中東・ウクライナ巡り見解
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中