最新記事
感染症対策

「マスク品切れ」いつまで経っても解消されないのは何故? 多くの人に届ける方策とは

2020年4月24日(金)16時22分
菅原幸子(医薬品業界誌記者、月刊ドラッグマガジン編集長)*東洋経済オンラインからの転載

ドラッグストアではマスクの品切れが続いている(写真は東京都内、筆者撮影)

「増産しているのに、どうしてマスクが店頭に並ばないのか」
「いつになったら、マスクをいつものように買えるようになるのか」

ドラッグストア業界を読者とする、いわゆる"業界誌"である当社には、そんな質問が多く寄せられるようになった。

菅義偉官房長官は2カ月前の会見で「来週以降、毎週1億枚以上、供給できる見通し」(2月12日)とコメント。「3月は月6億枚超が確保される」(3月17日)と続け、同27日には4月の見通しとして、さらに1億枚以上を上積みできるとの認識を示した。

"いつもの風景"には当分戻らない

だが、それでも"いつもの風景"には当分戻らない。多少、生産・供給体制を増強したとしても到底賄いきれないほどの強烈な需要がしばらく続く見込みだからだ。

詳しく解説しよう。下図は、卸売業者の協力を得て作ったマスク流通の概念図だ。「製造」「卸在庫」「需要」「店頭在庫」「販売数」「家庭内在庫」などの流通量を縦軸で、時間経過を横軸で示した。

マスク流通の概念図


それぞれの状況を簡単に解説すると以下のようになる。


製造:マスク不足が報道された「E」以降、増産されている
 
卸在庫:販売がピークになった「D」以降、在庫が底をついている。ちなみに、家庭内在庫が一巡した「M」以降、卸在庫はかつてない規模で急増する
 
需要:つねに一定規模の需要があると想定
 
店頭在庫:製造は「E」から「H」の時期に急増するが、店頭在庫が平常時の「A」の水準に戻るまでは「H」から「M」までの期間がかかる
 
販売数:「D」に販売数のピークを迎えたが、欠品により販売数は急減。その後、増産に伴い販売数は上昇している
 
家庭内在庫:家庭内在庫が満たされる「L」以降に、店頭在庫は上昇する


今、まさに店頭で見られる風景は時間軸のEに当たる。製造・供給が需要に追いついていないため、マスクが不足している状態だ。ちなみに、その少し前にはマスク販売が急激に伸びたが、その後、在庫がなくなったために販売数が急減していることも示している。

ここでマスクがどんどん増産・供給されれば、今の店頭風景は変わるのか。問題はそんなに単純ではない。

"店頭にいつでもマスクが置いてある風景"は、「店頭在庫」が十分にあるということを意味する。この図では、増産・供給すれどもすれども店頭在庫が高まるにはかなりの時間がかかることを示している。なぜなら、一般的な需要に、不安感からくる買いだめ需要が長い期間にわたって上乗せされると考えられるからだ。「家庭内在庫」である。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

EU5カ国財務相、エネルギー企業に対する臨時課税の

ビジネス

ペトロナス用船のイラク原油運搬タンカー、ホルムズ海

ビジネス

OPECプラス8カ国が5月増産に合意、海峡封鎖で実

ワールド

トランプ氏、7日まで海峡封鎖ならイラン 攻撃示唆 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙の2大テーマでAI懸念を払拭できるか
  • 2
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 3
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「攻撃的知能」を解剖する
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 6
    地面にくねくねと伸びる「奇妙な筋」の正体は? 飛行…
  • 7
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 8
    トランプ、イランに合意期限「米東部時間6日午前10時…
  • 9
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 10
    血圧やコレステロール値より重要?死亡リスクを予測…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 3
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 4
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 5
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 6
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 7
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 8
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 9
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 10
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中