最新記事

アメリカ社会

米ジョージア州が「ロックダウン破り」、濃厚接触でも営業再開を待ちきれず

Georgia Mayors Call Kemp Decision to Reopen Some Businesses 'Irresponsible'

2020年4月22日(水)17時10分
ジェイソン・レモン

アトランタでは今週末からジムも営業再開していいことになった Elijah Nouvelage-REUTERS

<トランプ大統領以下、ウイルス制圧より経済再開を焦る勢力が騒ぎ始めたアメリカで、ジョージア州がハイリスクのビジネス再開を決定。ウイルスの思う壺か>

新型コロナウイルス大流行の中心地であるアメリカで、ジョージア州のブライアン・ケンプ知事(共和党)が4月24日から幅広いビジネスの活動再開を認めると発表したことを受け、同州の複数の市長が、驚きといらだちを表明した。

ケンプは4月20日の記者会見で、ジム、フィットネスクラブ、ボーリング場、ボディアートスタジオ、理美容院、ネイルサロン、エステサロン、マッサージ店について、4月24日からまず最小限の営業活動の再開を認めると発表した。ケンプによればこの方針は、「感染者数の推移、検査数の増加、州の医療専門家の支持」にもとづき、ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策タスクフォースが定めたガイドラインに沿って決定したものだという。

だが、ジョージア州の市長の多くは、ケンプの発表に衝撃を受けたようだ。一部はこの決定を「無謀」かつ「無責任」として、市民に引き続き外出を控えるように促している。ケンプの広報担当者は、各市長には適切な方法で通知したと主張している。

ジョージア州知事の広報責任者で最高顧問代理のキャンディス・L・ブロスは、州内の大都市の市長たちの名前を挙げて以下のように述べた。彼らだって「市政で何かを決めた時に、事前に州に通知したりはしない」

濃厚接触の業種なのになぜ

ブロスに名指しされたサバンナ市長のヴァン・ジョンソンは、CNNのインタビューで、ケンプの決定は「無謀で時期尚早で危険」と述べた。「市民にもわかるだろう」「市民には自信を持ってほしいが、科学にも従ってほしい。いまはまだ危険だ」

オールバニー市長のデゥー・ボローも同様に、州知事の決定を「無責任」と批判した。アトランタ・ジャーナル・コンスティテューション紙によればボローはこう言った。「もうこれ以上市民を守ることはできないと宣言したようなものだ。まるでUターン命令だ」

アセンズ・クラーク郡首長のケリー・ギルツも21日午前、州知事の決定にかかわらず、郡の住民には自宅にとどまるように要請したと語った。「(再開を認められる)業種は濃厚接触を伴う仕事で、だからこそ休業させられてきたというのに」

アトランタ市のケイシャ・ボトムス市長(民主党)は、ケンプの決定に「当惑している」と話した。「州知事とは仕事上、良好な関係を築いているが、この発表の前には州知事と話をしていない」とボトムスは続け、「懸念している」と述べた。

<参考記事>コロナ抗議デモ拡大、トランプが反抗をけしかけ「ミシガンを解放せよ」
<参考記事>米ハーバード大が、コロナ禍から経済を再開するための戦略を発表

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ダライ・ラマ「一介の仏教僧」として使命に注力、90

ワールド

BRICS財務相、IMF改革訴え 途上国の発言力強

ワールド

英外相がシリア訪問、人道援助や復興へ9450万ポン

ワールド

ガザで米国人援助スタッフ2人負傷、米政府がハマス非
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚人コーチ」が説く、正しい筋肉の鍛え方とは?【スクワット編】
  • 4
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 5
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 8
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 9
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 10
    「登頂しない登山」の3つの魅力──この夏、静かな山道…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中