最新記事

中国

中国、広州でのアフリカ人差別への抗議に反論「米国が対立の火種を作っている」

2020年4月14日(火)10時45分

中国外務省の趙立堅報道官(写真)は13日、アフリカの国々や米国の外交官が、広東省広州市でアフリカ系の人たちが新型コロナウイルスの検査や隔離を強要されるなど差別的な扱いを受けていると訴えていることに反論した。4月8日、北京で撮影(2020年 ロイター/Carlos Garcia Rawlins)

中国外務省の趙立堅報道官は13日、アフリカの国々や米国の外交官が、広東省広州市でアフリカ系の人たちが新型コロナウイルスの検査や隔離を強要されるなど差別的な扱いを受けていると訴えていることに反論した。

同報道官は定例の記者ブリーフィングで「中国ではアフリカの仲間たちに対する差別はない」と断言。米国がこの問題を悪用し、中国とアフリカ諸国の関係悪化を狙っていると主張した。

複数のアフリカの国の駐北京大使は中国の王毅国務委員兼外相に宛てた書簡で、広州市でアフリカ人が真夜中にホテルから追い出されたり、パスポートを押収されたり、ビザ(査証)の取り消しや強制送還、逮捕の脅しを受ける事例が続出していると指摘。

その後、広州の米総領事館も米市民に注意喚起する文書を出し、広州当局が、バーやレストランに対し、アフリカ系の人たちに給仕しないよう命じ、アフリカ人との接触者に新型コロナ検査と自主隔離を強制的に実施しているとして、アフリカ系米国人に広州の都市圏から離れるよう促した。

趙報道官は、中国は全ての外国人を平等に扱っていると強調。「米国が対立の火種を作っているのは無責任で不道徳な行為だ」と述べ、「中国とアフリカの間に亀裂を生じさせる取り組みは決して成功しない」とした。

米国務省の当局者らは13日も中国人による「排外主義」を批判。オルタガス報道官は「中国当局は同国に暮らし、留学するアフリカ人の虐待をやめるべきだ」とツイッター上で訴えた。

中国では入国者の新型コロナ感染確認が相次いでいるが、大半が海外から帰国する中国人となっている。

[北京 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・「回復した人の3割が十分な抗体を持たず」と中国の研究結果:新型コロナウイルス
・マスク不足はなぜ起き、どうやって解消すべきなのか
・英米メディアが絶賛、ニュージーランドが新型コロナウイルスを抑え込んでいる理由とは
・気味が悪いくらいそっくり......新型コロナを予言したウイルス映画が語ること


20200421issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月21日号(4月14日発売)は「日本人が知らない 休み方・休ませ方」特集。働き方改革は失敗だった? コロナ禍の在宅勤務が突き付ける課題。なぜ日本は休めない病なのか――。ほか「欧州封鎖解除は時期尚早」など新型コロナ関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

仏大統領「米中分裂が最大のリスク」、インド太平洋と

ビジネス

関税の即刻見直しかなわないなら、合意は困難=日米交

ワールド

トランプ氏、中国の関税合意違反を非難 厳しい措置示

ワールド

中国、ブラジル産鶏肉の輸入全面禁止 鳥インフル発生
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中