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コロナショック

コロナ医療スタッフにあなたは「ありがとう」or「近寄るな」 パンデミックが暴く人間性

2020年4月24日(金)12時00分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

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© 韓国で医療従事者を応援する「トップネチャレンジ」にはキム・ヨナなどの有名人も参加。Yonhapnews / YouTube

感染対策で注目される韓国では手話で感謝

20日にソーシャルディスタンスを保つ措置の緩和も発表され、封じ込めに成功したように見えるお隣りの韓国では、今医療陣を応援する「おかげ様でチャレンジ(덕분에 챌린지=トップネチャレンジ)」が話題を呼んでいる。

これは、Goodのように右手の親指を立て、左手の上に添えるポーズをSNSに写真を載せる。実はこれ、韓国手話で「尊敬と自負心」を表すポーズで、医療陣へ感謝の気持ちを表すというキャンペーンだ。今月16日韓国政府機関防疫センターが提案し、その後インターネット上では次々とこのポーズの写真と感謝のメッセージが投稿されている。

たった一人の応援者から

もっとも、そんな韓国でもコロナ拡散が始まった当初は、武漢からの帰国者を受け入れ先となった隔離施設のある忠淸南道アサン市民が猛反発し、反対運動が起こっていた。ブルドーザーを動員しての、座り込みなどのデモが行われ一時は騒然とした。

ところが、そんな報道を見た一人の男性の行動で事態は一転する。アサン市民イム・デヒョクさんは、今こそ助け合うべきではないかと「We are Asan!」「환영합니다.」(歓迎します)のプラカードを持った写真をSNSに投稿した。このことが話題となり、賛同するアサン市民が増え、次々とWe are Asan!と書かれた隔離者応援の写真投稿が始まった。そして賛同者が増えるにつれて、以前は反発していたデモ参加者も落ち着きを見せるようになっていった。

今回紹介した数々の心温まるエピソードは、ほんの一部であり、世界中では今現在もこのような助け合いや感謝の心が広がり、それは暗く憂鬱な毎日に一筋の光を与えている。しかしそれとは対照的に差別的な行動をとっている人が大勢いるのも事実だ。

今この状況下で人びとはどう行動しているか、周りを見渡してみてほしい。危機的状況のなかでこそ、その人間の本性が現れる。




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