最新記事

メディア

ジャパンタイムズ、慰安婦の英語表記を再変更 社長と編集主幹は退任

2020年3月23日(月)13時15分

英字新聞、ジャパンタイムズは20日、2018年11月に告知した慰安婦の英語表記変更について社内で検討した結果、再度表現を変更する、とのアナウンスメントを紙面に掲載した。2012年8月、東京で撮影(2020年 ロイター/Yuriko Nakao)

英字新聞、ジャパンタイムズは20日、2018年11月に告知した慰安婦の英語表記変更について社内で検討した結果、再度表現を変更する、とのアナウンスメントを紙面に掲載した。変更により、慰安婦の被害性をより明確にした、元の表現に近いものとなる。徴用工については再変更は行わないとしている。同社の堤丈晴社長と18年の表記変更を主導した水野博泰編集主幹は25日付で退任する。

同紙の20日の告知では「論争の種となっている日本の戦時中の問題に関連する(18年11月の)変更後の表記は不適切だった。告知はジャパンタイムズの編集方針に関する批判と混乱を引き起こした」とし、その後、社内で議論を重ねてきた結果、慰安婦については「第2次世界大戦の前と戦時中、日本の軍隊の娼館システムの下で苦しんだ女性たち」とするとしている。

2018年11月の告知では、「今後、ジャパンタイムズは徴用工を「forced laborers(強制された労働者)」ではなく「戦時中の労働者(wartime laborers)」と表現する。慰安婦については「日本の軍隊に性行為の提供を強制された女性たち(women who were forced to provide sex for Japanese troops)」としてきた説明を変え、「意思に反してそうした者も含め、戦時中の娼館で日本兵に性行為を提供するために働いた女性たち(women who worked in wartime brothels, including those who did so against their will, to provide sex to Japanese soldiers)」との表現にする」とされていた。

ジャパンタイムズは、1月の全社会議で、堤社長と水野編集主幹が3月末で退任し、末松弥奈子会長が社長として4月から経営建て直しを図ると発表した。同時にリストラ策として30人の希望退職を募ることも通知された。

ロイターが入手した全社会議の記録によると、堤社長は「社の存続は危ういという状況に直面している。経緯はどうあれ、結果としてこのような状況に陥ったことに対する経営陣の責任は大きい。トップとして責任を明確にする必要がある」と述べ、経営悪化の責任をとって退任することを明らかにした。

質疑応答では、ある社員から慰安婦の表記変更をめぐる一連の問題が、経営上の損失を招いたのではないか、との質問が出た。これに対し末松会長は、個人的にはそうは思わない、と答えた。

[東京 23日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・「慰安婦」など表記変更しリベラルと訣別? ジャパンタイムズで何が起きているのか


20200331issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月31日号(3月24日発売)は「0歳からの教育 みんなで子育て」特集。赤ちゃんの心と体を育てる祖父母の育児参加/日韓中「孫育て」比較/おすすめの絵本とおもちゃ......。「『コロナ経済危機』に備えよ」など新型コロナウイルス関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、南ア・印・ブラジル首脳と相次ぎ電話協議

ワールド

トランプ氏「紛争止めるため、追及はせず」、ゼレンス

ワールド

中国首相、消費促進と住宅市場の安定を強調 経済成長

ワールド

ロシア、ウクライナに大規模攻撃 ゼレンスキー氏「示
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    AIはもう「限界」なのか?――巨額投資の8割が失敗する現実とMetaのルカンらが示す6つの原則【note限定公開記事】
  • 4
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 5
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 6
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 7
    アラスカ首脳会談は「国辱」、トランプはまたプーチ…
  • 8
    「これからはインドだ!」は本当か?日本企業が知っ…
  • 9
    恐怖体験...飛行機内で隣の客から「ハラスメント」を…
  • 10
    あまりの猛暑に英国紳士も「スーツは自殺行為」...男…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 7
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 8
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 9
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 10
    【クイズ】アメリカで最も「盗まれた車種」が判明...…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中