最新記事

メディア

「慰安婦」など表記変更しリベラルと訣別? ジャパンタイムズで何が起きているのか

2019年1月25日(金)13時35分

日本の代表的な英字新聞、ジャパンタイムズの新オフィスで、昨年12月3日、同社幹部と十数名の記者らが激しい論争を繰り広げた。2012年8月、東京で撮影(2019年 ロイター/Yuriko Nakao)

日本の代表的な英字新聞、ジャパンタイムズの新オフィスで、昨年12月3日、同社幹部と十数名の記者らが激しい論争を繰り広げた。対立に火をつけたのは、日韓摩擦の火種となっている「慰安婦」と「徴用工」について、11月30日付の紙面に掲載された「editor's note」(編集長の説明)だった。

今後、ジャパンタイムズは徴用工を「forced laborers (強制された労働者)」ではなく「戦時中の労働者(wartime laborers)」と表現する。慰安婦については「日本の軍隊に性行為の提供を強制された女性たち(women who were forced to provide sex for Japanese troops)」としてきた説明を変え、「意思に反してそうした者も含め、戦時中の娼館で日本兵に性行為を提供するために働いた女性たち(women who worked in wartime brothels, including those who did so against their will, to provide sex to Japanese soldiers)」との表現にする。

こうした編集上層部の決定に、それまでの同紙のリベラルな論調を是としてきた記者たちは猛反発した。

「反日メディアであることのレッテルをはがしたい。経営陣として『アンチジャパン(反日)タイムズ』ではとても存続できない」と説明する水野博泰・取締役編集主幹に、記者側からは「ジャーナリズムの自殺行為だ」、「ファクト(事実)が問題であって、リアクション(読者らの反応)が問題なのではない」などの批判が噴出した。

安倍晋三政権に批判的だったコラムニストの記事の定期掲載をやめてから、安倍首相との単独会見が実現し、「政府系の広告はドカッと増えている」と編集企画スタッフが発言すると、「それはジャーナリズム的には致命的だ」との声も。翌日に開かれた同社のオーナーである末松弥奈子会長とのミーティングでは、発言の途中で感情的になって泣き出す記者もいるほどだった。

変更の表明から1週間ほどたった12月7日、水野氏は紙面に編集主幹の名で異例の全面社告を掲載した。その中で、同氏は変更によって読者の信頼を損なったことを謝罪したものの、変更自体を撤回する考えは示さなかった。

ニュース速報

ビジネス

新型ウイルス、まずは中国経済注視 必要なら追加緩和

ビジネス

中国人民銀、景気支援へ追加措置の用意 新型ウイルス

ワールド

新型ウイルス、韓国の感染者346人に急増 中国では

ビジネス

フランス格付け見通しを「安定的に」引き下げ=ムーデ

MAGAZINE

特集:上級国民論

2020-2・25号(2/18発売)

特権階級が不当に罪を逃れている── 日本を席巻する疑念と怒りの正体

人気ランキング

  • 1

    「部外者」には分かりにくい、日本の見えないマナー違反

  • 2

    クルーズ船対応に見る日本の組織の問題点──権限とスキルの分離が組織を滅ぼす

  • 3

    韓国にパンブーム到来、ソウルの「日本のパン屋」に突撃取材した

  • 4

    「ホライモリは悲しんだ」......7年間、同じ場所で動…

  • 5

    「マスクは今週1億枚を供給、来月には月産6億枚体制へ…

  • 6

    深い眠りによって脳内の老廃物が洗い流されているこ…

  • 7

    ヒトの老化は、34歳、60歳、78歳で急激に進むことが…

  • 8

    映画「パラサイト」に隠れている韓国のもう一つの「…

  • 9

    中国の探査機が月に持ち込んだ植物の種、ハエの卵...…

  • 10

    新型コロナウイルス、急拡大の背景に排泄物を介した…

  • 1

    夜間に発電できる「反ソーラーパネル」が考案される

  • 2

    文在寅を見限った金正恩......「新型コロナ」でも問答無用

  • 3

    ロイヤルウェディングの招待状がほのめかしていたメーガン妃の離婚歴

  • 4

    殺害した女性の「脳みそどんぶり」を食べた男を逮捕

  • 5

    スキー・スノボに行かなくなった(行けなくなった)…

  • 6

    感染者2200万人・死者1万人以上 アメリカ、爆発的「イ…

  • 7

    新型コロナウイルスはコウモリ由来? だとしても、…

  • 8

    韓国、キャッシュレス完了した国が進める「コインレ…

  • 9

    新型コロナウイルス、人口2.6億のインドネシアで感染…

  • 10

    クルーズ船内「悲惨な状態」 神戸大・岩田健太郎教授、…

  • 1

    「歯肉から毛が生えた」という女性の症例が世界で初めて報告される

  • 2

    一党支配揺るがすか? 「武漢市長の会見」に中国庶民の怒り沸騰

  • 3

    ヒヒにさらわれ子どもにされた子ライオンの悲劇

  • 4

    マスク姿のアジア人女性がニューヨークで暴行受ける

  • 5

    新型コロナウイルスはコウモリ由来? だとしても、…

  • 6

    夜間に発電できる「反ソーラーパネル」が考案される

  • 7

    韓国で強まる、日本の放射能汚染への懸念

  • 8

    「武漢はこの世の終末」 チャーター機乗れなかった米…

  • 9

    BTSと共演した韓国人気子役がYouTubeで炎上 虐待さ…

  • 10

    「拷問死したアメリカ人学生」がはばむ文在寅の五輪…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2020年2月
  • 2020年1月
  • 2019年12月
  • 2019年11月
  • 2019年10月
  • 2019年9月