3月ロイター企業調査:東証「株価意識経営」5割が「適切」、アクティビスト台頭の副作用も
写真は2025年1月、東京証券取引所で撮影。REUTERS/Issei Kato
Kentaro Sugiyama
[東京 19日 ロイター] - 3月のロイター企業調査で、3年が経過する東京証券取引所の「株価を意識した経営」要請に関する評価を聞いたところ、全体の5割が「適切」と回答した。ガバナンスや資本効率への意識向上につながったとの指摘が多かった。一方、短期的な株価志向や株主偏重、アクティビスト(物言う株主)の台頭を指摘する声もあり、「副作用が出てきている」とした企業が2割、「適切でない」と回答した企業も17%あった。
調査は3月4日─3月13日。調査票発送企業は492社、回答社数は216社だった。
東証は23年3月、プライム市場とスタンダード市場の上場会社に対し、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請した。
企業経営への影響については「大きな影響があった」、「影響があった」は合計で50%、「あまり影響はなかった」、「なかった」は合計で12%となった。要請を踏まえて力を入れた取り組み(複数回答可)では「IR活動の強化」が51%で最も多く、「株主還元」が48%、「成長投資」が31%、「事業ポートフォリオの最適化」が23%で続いた。
東証の取り組みに対しては全体の53%が「適切」と回答。2%が「加速すべき」とした。企業からは「内部留保に偏りがちだった資金が適切に投資に回され、株主を意識した経営に変わりつつある」(化学)、「企業価値向上に向けたアクションや開示につながっている」(精密機器)など、経営姿勢に一定の変化をもたらす効果があったという声が多かった。
実務面では、ROIC(投下資本利益率)などの指標を用いた経営管理の導入・深化が進んだとの回答もあった(電機、鉄道)。
一方、短期的な株価上昇を意識した経営に傾きやすいとの懸念も根強い。東証の要請が「適切とは言えない」との回答は17%に上った。「配当比率の向上による株式投資のリターンに重点があり、強い企業を育てることにつながっていない」(化学)、「業務量が増えたが業績がともなわない」(非鉄金属)といったコメントがみられた。
「副作用が出てきている」との回答も21%あった。「本来、本業に入れるべきリソースが株価・株主対策に回されている」(電機)、「アクティビストが会社に提案を持ちかけるケースが増加している」(サービス)など、必ずしも企業価値向上につながらない側面を指摘する声もあった。ある化学メーカーは「理念に基づいた長期経営の制約になることからMBO(経営陣が参加する買収)を実施した」という。
回答した輸送用機器メーカーの関係者は「自身の考えは少数派かもしれない」としながら、「株価を気にしすぎて打つべき手が打てなくなっていないか。短期売買で利益を出すゼロサムゲーム(投機)に投資家が過熱しすぎていないか」と指摘。また「それをマスコミがあおりすぎていないか」と疑問を投げかけ、「今一度落ち着いて、一人ひとりが自分の考えで行動できるようになることが望ましい」と述べた。





