最新記事
ブレグジットイギリス下院、EU離脱関連法案を可決 3年間の混乱に終止符

英下院は9日、今月31日に欧州連合(EU)から離脱するためのブレグジット関連法案を賛成330、反対231で可決した。写真中央はジョンソン首相。8日撮影(2020年 ロイター/UK Parliament/JESSICA TAYLOR)
英下院は9日、今月31日に欧州連合(EU)から離脱するための条件などを盛り込んだ関連法案を賛成330、反対231で可決した。これにより、離脱を巡る3年余りの混乱に終止符が打たれることになる。
バークレイEU離脱担当相は下院での数時間にわたる議論を「ブレグジット(EU離脱)を実現させる時がきた。この法案によって実現する」と締めくくった。
上院でも法案が承認されるのは確実とみられ、EU離脱が1月末に実現することが事実上確定した。
英国は当初、2019年3月末の離脱をめざしていたが、EUとの間で合意した離脱条件を英議会が拒否し続け、合意なき離脱への懸念が拡大。離脱を決めた16年の国民投票を巡って国民の間の分断が深まった。
しかし、19年7月に就任したジョンソン首相が解散・総選挙に踏み切り、1月末のEU離脱を公約に掲げて大勝利を収め、議会を完全に掌握したことが状況を一変させた。これにより、EU離脱を巡る先行き不透明感は大きく後退した。
今後の焦点は20年12月末までとなっているEU離脱後の激変緩和のための移行期間内にEUとの間で自由貿易協定(FTA)を締結できるかどうかに移る。
ジョンソン首相は移行期間内のFTA交渉妥結をめざす方針だ。一方、EU側は複雑な内容が絡むFTAの交渉にはもっと時間がかかるとの立場だ。
欧州委員会のフォンデアライエン委員長は8日、ジョンソン首相との会談に先立って行った講演で、EUと英国が将来的な関係を巡り年末までに全ての課題について交渉するのは「基本的に不可能」と述べた。


アマゾンに飛びます
2020年1月14日号(1月7日発売)は「台湾のこれから」特集。1月11日の総統選で蔡英文が再選すれば、中国はさらなる強硬姿勢に? 「香港化」する台湾、習近平の次なるシナリオ、日本が備えるべき難民クライシスなど、深層をレポートする。