最新記事

核廃絶

ローマ教皇フランシスコが長崎・広島訪問 爆核兵器廃絶訴え

2019年11月25日(月)09時30分

ローマ教皇フランシスコは24日、被爆地の長崎を訪れて演説し、核兵器所有は平和への望みへの最良の答えではないと述べ、核兵器廃絶を訴えた(2019年 ロイター/Remo Casilli)

ローマ教皇フランシスコは24日、被爆地の長崎と広島を相次いで訪れて演説し、核兵器保有は倫理に反しており、戦争目的の原子力使用は人類と自然に対する犯罪だと述べ、核兵器廃絶を訴えた。

長崎で教皇は、2017年採択の核兵器禁止条約への支持を改めて表明した。同条約は、国連加盟国の3分の2近い国や地域が賛成したが、核抑止力が損なわれると主張する核保有国などは不参加となっている。

教皇は爆心地公園でのスピーチで「核兵器や大量破壊兵器を所有することは、(平和と安定への望みへの)最良の答えではない」と指摘。「わたしたちの世界は、手に負えない分裂の中にある。恐怖と相互不信を土台とした偽りの確かさの上に、平和と安全を築こうとしている」が、「国際的な平和と安定は、相互破壊への不安や、壊滅の脅威を土台とした、どんな企てとも相入れない」と述べた。

教皇は「ここ(長崎)は、核兵器が人道的にも環境にも悲劇的な結末をもたらすことの証人である町。軍備拡張競争に反対する声は、小さくともつねに上がっている」などと語りかけた。

軍備拡張競争は貴重な資源の無駄遣いだと表明。「何百万という子どもや家族が人間以下の生活を強いられている」一方で、武器の製造に財が費やされているという状況は「途方もないテロ行為」と語った。

広島の平和記念公園での集いでは「ここでは一瞬の閃光と炎によって余りにも多くの男女、余りにも多くの夢や希望が消滅し、影と沈黙だけが残った」と情緒的に訴えた。

戦争目的の原子力使用について「人類の尊厳や地球の未来に対する犯罪であることが、かつてないほど明確」で、核兵器保有と同様に「倫理に反する」と強調した。

*内容を追加しました。



[広島 24日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20191126issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

11月26日号(11月19日発売)は「プラスチック・クライシス」特集。プラスチックごみは海に流出し、魚や海鳥を傷つけ、最後に人類自身と経済を蝕む。「冤罪説」を唱えるプラ業界、先進諸国のごみを拒否する東南アジア......。今すぐ私たちがすべきこととは。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

EXCLUSIVE-FRB、シティへの改善勧告を解

ビジネス

英、金融指標の規制見直し 業界負担を軽減

ワールド

韓国、ウォン安への警戒強める 企画財政相「必要なら

ワールド

米、台湾への新たな武器売却承認 ハイマースなど11
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 10
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 5
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中