最新記事

ウクライナ疑惑

弾劾調査に大きなヤマ場、反トランプ証言を全米にライブ中継

Now the Public Gets to Decide on Impeachment

2019年11月13日(水)15時55分
エイミー・マッキノン

トランプ対民主党の対決(左は民主党のナンシー・ペロシ下院議長) REUTERS/Jim Young

<ウクライナ疑惑に関する公聴会が全米にテレビ中継される。アメリカ人の心に深く刻まれることになるだろう弾劾ドラマの見どころを解説>

ドナルド・トランプ米大統領に対する弾劾調査が、重大な局面を迎えようとしている。米議会下院は13日、政府高官らに対する公聴会を実施。トランプと彼の弁護士ルドルフ・ジュリアーニがみずからの政治的利益のためにアメリカの対ウクライナ政策を変更しようとした疑惑について、詳細な質疑応答が行われる。

証言台に立つウィリアム・テイラー駐ウクライナ臨時代理大使とヨーロッパおよびユーラシア問題担当のジョージ・ケント国務次官補代理は、下院ですでに非公開証言を行っており、二度目の証言となるが、前回との大きな違いは、質疑応答が全米にライブ中継されることだ。

非公開の証言で、テイラーとケントはホワイトハウスの内部告発者が訴えた「ウクライナ疑惑」の内容を裏付けたと報じられた。内部告発によれば、トランプはウクライナに軍事支援をする条件として、ジョー・バイデン前副大統領と、ウクライナのエネルギー会社ブリスマの幹部だった息子ハンターの汚職疑惑を捜査してほしいと圧力をかけたという。バイデンは2020年の次期大統領選挙でトランプの有力な対立候補となる可能性が高い政敵だ。

トランプの政治生命の分かれ目となりそうな今回の公聴会で、注意すべきポイントを紹介しよう。

公開証言の目的は?

民主党が多数を占める議会下院で10月31日、トランプに対する弾劾調査の基本的な手続きを定めた決議案が可決された。これによって調査を進めることが公式に承認され、その内容が公開される道筋が整った。

世論調査サイト「ファイブサーティエイト」によれば、弾劾に対する国民の意見は二分されており、弾劾支持は49%となっている。

民主党は非公開証言の記録を公開し、同じ証人にテレビカメラの前で証言させることによって、国民に証拠を示し、弾劾への支持を増やそうとしている。

弾劾調査を担当する下院情報委員会のアダム・シフ議長(民主党)は、公聴会が「アメリカ国民がを自分自身で疑惑の真偽を評価する機会になる」と述べた。

また、証言公開への動きは、秘密理に行われる弾劾プロセスが大統領に不公平だと訴える共和党の攻撃をかわすねらいもあるとみられる。

<参考記事>トランプ弾劾の公聴会で注目される外交官3人の証言
<参考記事>弾劾調査:新証言でトランプ大統領「最悪の日」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

野村HD、1―3月期純利益は568億円 前年同期比

ビジネス

LSEGのCEO報酬、年最大1300万ポンド強に 

ワールド

コロンビア大を告発、デモ参加者逮捕巡り親パレスチナ

ビジネス

タイ自動車生産、3月は前年比-23% ピックアップ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中