最新記事

アメリカ経済

アメリカは好況? 不況? 支持政党で景況感に大きな差

2019年10月29日(火)17時30分

米国はこれまで大統領選の結果を占う上で景気動向が確固たる手掛かりになってきた。しかし来年の大統領選ではそうはいかないかもしれない。写真はニューヨークのフォックス・ニュースのオフィス前で11日撮影(2019年 ロイター/Andrew Kelly)

米国はこれまで大統領選の結果を占う上で景気動向が確固たる手掛かりになってきた。しかし来年の大統領選ではそうはいかないかもしれない。新たに行われた消費者景況感に関する大規模調査で、トランプ氏を支持するかどうかなど政治的性向が違うと景気に対する見方が大きく異なっていることが明らかになったためだ。

調査を行ったのはデータ分析会社モーニング・コンサルト。消費者景況感に関する著名な統計「ミシガン大消費者信頼感指数」と同じ5項目についてオンライン経由で2年近く調べたが、対象者は月約21万人とミシガン大指数の同500人程度を大幅に上回り、政治的性向に関する質問も含まれている。

23日公表された初の調査結果では政治的性向によって回答に非常に大きな食い違いがあり、景気動向が2020年の大統領選にどう影響するかを読み解くのが難しくなりそうだ。

有権者は経済について低失業率や貿易紛争など同じ事実を目の当たりにしている。調査では全体の信頼感指数は108で楽観と悲観の分岐点となる100をわずかに超えたが、トランプ氏支持層が136とはるかに楽観的だったのに対して、非支持層では88と大きな差が生じた。

景気認識についてはどのメディアを視聴・購読するかでも差がみられた。景気の現状に関する指数は、保守派寄りのフォックス・ニュースの視聴者では139で、トランプ氏に批判的なMSNBCの視聴者では89だった。ニューヨーク・タイムズの読者は107、フェイスブックとツイッターでニュースを読む層はそれぞれ110、112だった。

調査結果は年齢、人種、性別などで比重を設定され、全国レベルの代表性を持つように調整される。調査は継続中だ。

モーニング・コンサルトのアナリスト、ジョン・リア氏は、失業率の記録的低下や低インフレ、ほどほどに鈍い賃金伸び率などの要因は従来は大統領選の結果を予想する上で役立ってきたが、「基調的な経済情勢と政治的傾向を峻別することが重要だ」と指摘。消費者信頼感とニュースの受け止め方には隠れた関係性がありそうだとした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA

ビジネス

根強いインフレ、金融安定への主要リスク=FRB半期

ビジネス

英インフレ、今後3年間で目標2%に向け推移=ラムス

ビジネス

米国株式市場=S&Pとナスダック下落、ネットフリッ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中