最新記事

アメリカ経済

アメリカは好況? 不況? 支持政党で景況感に大きな差

2019年10月29日(火)17時30分

強まる政治的性向

このような調査は各項目の間に因果関係を打ち立てるものではなく、例えば情報を手に入れているメディアが景気認識を左右するのか、政治的なスタンスが視聴するメディアを決めるのかは不明だ。しかしこうした各要因の関係の解きほぐしに着手する基礎となる。

とりわけトランプ氏は経済を巡る政治的に影響された見方によって政局を大きく変えてしまったとみられているだけに、こうした因果関係の分析は重要だろう。

ミシガン指数も1980年にレーガン氏、2008年にオバマ氏、16年にトランプ氏がそれぞれ勝利した3回の大統領選の投開票前後に所属政党に関する調査を実施した。いずれの調査でも所属政党により景気認識に大きな差があり、選挙で勝った政党に所属していると景況感が良く、負けた政党に所属していると景況感が低かった。

ミシガン大調査のディレクターのリチャード・カーティン氏によると、レーガン氏とオバマ氏の場合はこの差が統計的に取るに足りない範囲にとどまったが、トランプ氏では民主党所属と共和党所属の間で極めて大きな74.6ポイントの開きが出た。

カーティン氏は10月初旬のリポートで、トランプ氏が大統領に就任した後も共和党員は成長に楽観的で民主党員は景気後退を見込んでいる状況が続いていると指摘。従来は消費者景況感が良好だったり改善したりすれば現職に有利に働き、景況感の低迷は挑戦者に追い風となっていたが、「最近は政治的性向が強まり、関連性が失われるかもしれない」という。

FRBも苦境に

政治的性向と景況感の関連性の変化や政治的性向の実体経済への影響を心配しなければならないのは政治アナリストだけではない。

消費者の景況感や景気見通しに関する調査は経済予測に使われ、特に米連邦準備理事会(FRB)は消費行動やインフレ動向、消費者景況感の将来の動きなどを見極める際に消費者景況感調査に頼っている。

景気に関する見解が実際の経済の動きではなく政治的な信条で決まるのであれば、こうした項目について分析する上で問題になる。

モーニング・コンサルタントのリア氏は、景況感が良好であれば消費者は将来の見通しが明るいかのように消費を続けることがあり得るとみている。消費者は理由如何に因らず「楽観的に感じれば景気を支え続ける」という。

一方、消費者景況感と実際の消費の関係は乏しいとの調査結果もある。プリンストン大のアティフ・ミアン氏とシカゴ大のアミール・サフィ氏は2017年の研究で、2016年11月の大統領選ではトランプ氏支持層で景気認識が大幅に改善したが、選挙後にこの層で実際に支出が大きく増える状況は確認できなかったと分析した。

(Howard Schneider記者)

[ワシントン 24日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191105issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

10月29日発売号は「山本太郎現象」特集。ポピュリズムの具現者か民主主義の救世主か。森達也(作家、映画監督)が執筆、独占インタビューも加え、日本政界を席巻する異端児の真相に迫ります。新連載も続々スタート!


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウクライナ和平「断念せず」 引き続き関

ワールド

トランプ氏、27日にアイオワ州訪問 演説で生活費高

ワールド

ロシアとの高官協議、来月1日再開の見通し=ゼレンス

ワールド

トランプ氏、ミネソタ州知事と協議 地裁は移民摘発停
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 5
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 6
    「20代は5.6万円のオートロック、今は木造3.95万円」…
  • 7
    中国、軍高官2人を重大な規律違反などで調査...人民…
  • 8
    私たちの体は「食べたもの」でできている...誰もが必…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    老化の9割は自分で防げる...糖質と結び付く老化物質…
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 5
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 6
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 10
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中