最新記事

アメリカ社会

宇宙人ハンター数万人襲来? 人口50人のUFO伝説の町に緊張走る

2019年8月27日(火)12時34分

犯罪と牛が心配の種

ロバーツ氏は現在では、エリア51ではなく、レイチェルで3日間にわたって開かれる音楽祭エイリアンストックに参加するよう呼び掛けている。

ウェストさんは、音楽祭の来訪者向けのキャンプ場と駐車場として30エーカーの用地を確保する許可を現地の土地所有者から受けた上、給水車や警備員も手配した。

エイリアンストックの駐車場とキャンプ場の利用許可証を販売しているウェブサイトには、出演者は掲示されていない。ロバーツ氏は、コメントの求めに答えなかった。だが、町の人々はたくさん言いたいことがあるようだ。

レイチェルとエリア51の歴史に関するウェブサイトを運営しているイエルク・アルヌさんは「このイベントに反対しているわれわれのような住民もいる」と指摘。「砂漠の中の小さな美しい町、レイチェルが破壊されてしまう」と語った。

アルヌさんは、期間中は人々を締め出すため、レイチェルにつながる2車線道路を封鎖するよう当局に要請している。来訪者の中には「一定数の犯罪者」も含まれるだろうし、群衆が財産を傷付けそうだと住民は心配しているという。

町の電力や携帯電話サービス、インターネットなどがダウンしないか、来訪者が路上の牛と衝突しないかと、アルヌさんは心配する。町では毎年、見通しの効かない夜間に牛と自動車が衝突する事故が起こるのだという。

こうした中、ウェストさんは訪問予定者に対し、暑い日中と冷え込む夜間、それぞれに備えた衣服のほか、水や燃料を持参するよう呼びかけている。

65キロほど離れたネバダ州の町ヒコでも、「エイリアン・リサーチ・センター」と称するギフトショップで9月20、21の両日、食品販売やバンド演奏、ゲームなどの催しを盛り込んだイベントが計画されている。

レイチェルとヒコが属するリンカン郡の行政当局者は、緊急事態宣言の草案を策定するなど準備をしている。

ウェストさんは、突然盛り上がったエリア51への興味を受け入れるしか、この地域には選択肢がないと言う。抵抗すればもっと陰謀説を煽りそうだからだ。

地元当局が来訪を控えるよう呼びかけていたら「われわれが何か隠していると思われただろう。政府とグルだとね」とウェストさんは語った。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

25・26年度の成長率見通し下方修正、通商政策の不

ビジネス

午前のドルは143円半ばに上昇、日銀が金融政策の現

ワールド

米地裁、法廷侮辱罪でアップルの捜査要請 決済巡る命

ビジネス

三井物産、26年3月期は14%減益見込む 市場予想
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 2
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 3
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中