最新記事

トイレ

人権侵害!? ホームレスや障がい者を締め出す不寛容な公衆トイレに批判

A Welsh Town Will Install High-Tech, Anti-Sex Toilets

2019年8月19日(月)19時30分
ヘイリー・プロコス

一方、世界では性別を問わないユニセックストイレも広がっている(写真はメキシコの大学のユニセックストイレ)  Edgard Garrido-REUTERS

<警報音に水噴射で不心得者に対応するというが、太った人や障がいのある人には使えないとの指摘も>

イギリス南部のウェールズの町ポースコールが、公衆トイレでセックスするなどの「目的外使用」を防ぐハイテク・トイレの設置を計画している。先週末、メディアが報じた。

ウェールズオンラインによれば、町はかなりの費用をかけて既存の公衆トイレを改修し、性交渉や破壊行為を防止する機能が付いたものにする考え。料金は未定だが有料トイレになる予定だという。

トイレ内には人感センサーが設置され、急な動きを検知。複数人が個室に入ると重量センサーが反応する。大きな音を鳴らす警報装置と侵入者向けに水を噴射する装置も備え付けられるという。

<参考記事>異例の熱波と水不足が続くインドで、女性が水を飲まない理由が悲しすぎる

ホームレスが寝泊まりするのを防ぐために、個室に長時間滞在すると警告メッセージが流れ、照明や暖房が切れる機能も付ける。

町議会議員のマイク・クラークはメディアに対し、「公衆トイレの改修は、ポースコールを住むにも働くにも遊ぶにもすばらしい場所にする目標への第一歩だ」と述べている。

<参考記事>あり?なし? 性別不問のユニセックストイレ、英国で議論

発作を起こした人にもアラームが鳴る?

だがソーシャルメディアでは批判の声も上がっている。

「重量センサー付きの床って、ゆうに2人分の体重がある私はどうなるの? 介助が必要な人は? 子供たちと一緒に入った場合は?」と、あるインターネットユーザーは疑問を投げかける。

これまで明らかになった情報から見る限り、新しいトイレは障がいのある人には使えなそうだ、という指摘もある。

「発作や常同運動障害がある人にも(アラームや水噴射機能が)作動しそうだ」とあるユーザーは言う。「これに賛成した愚か者は、障がい者のことなどすっかり忘れていたに違いない」

(翻訳:村井裕美)

20190827issue_cover200.jpg
※8月27日号(8月20日発売)は、「香港の出口」特集。終わりの見えないデモと警察の「暴力」――「中国軍介入」以外の結末はないのか。香港版天安門事件となる可能性から、武力鎮圧となったらその後に起こること、習近平直属・武装警察部隊の正体まで。また、デモ隊は暴徒なのか英雄なのかを、デモ現場のルポから描きます。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中