最新記事

SNS

フェイスブック個人データ流出で、空前の罰金50億ドルは高いか安いか

2019年7月16日(火)14時40分
エイプリル・グレーザー

フェイスブックは個人データに関して同様の問題を繰り返してきた STEPHEN LAMーREUTERS

<年間売上高が550億ドルを超える企業規模を考えると、途方もない金額とまでは言えない>

フェイスブックの利用者8700万人の個人データが選挙コンサルティング会社ケンブリッジ・アナリティカに不正流出していたことが発覚したのは、昨年3月のこと。同社は、16年の米大統領選でトランプ陣営に協力していたとされている。

スキャンダル発覚から16カ月。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、米連邦取引委員会(FTC)は、この問題でフェイスブックに50億ドルの制裁金を科す和解案を決議した。

50億ドルは、FTCがテクノロジー企業に科した制裁金としては過去最大だ。12年にグーグルが科された2250万ドルを大きく上回る。もっとも、フェイスブックの企業規模を考えると途方もない金額とまでは言えない。何しろ、同社の18年の売上高は550億ドルを超えている。

それに、18年にはグーグルも独占禁止法違反を理由にEUから50億ドル相当の制裁金を科されている。莫大な制裁金の支払いは、巨大テクノロジー企業にとってビジネスの必要経費になりつつあるのかもしれない。

フェイスブックは12年、ユーザーの明確な同意なしに個人データを他社に提供しないことなどをFTCに約束していた。今回のスキャンダルでは、同社がこの合意に違反していたことも疑われている。

フェイスブックやグーグルのような巨大テクノロジー企業への規制強化を求めている民主党は、今回の和解案に満足していない。「フェイスブックはプライバシーの漏洩を繰り返している。抜本的な改革が必要なことは明らかだ」と、マーク・ワーナー上院議員は声明文の中で主張している。「FTCが適切な規制を設けないなら、議会が行動するほかない」

現時点で和解案の詳細はまだ明らかになっておらず、何らかの規制強化が盛り込まれる可能性もある。派手な金額の制裁金と併せて厳しい規制が導入されれば、フェイスブックも行動を改めるかもしれない。

しかし、これまでフェイスブックが何度も同様の問題を起こしてきたことも事実。それを見る限り、ルールを破らずにビジネスを急成長させることが不得意なのは間違いなさそうだ。

©2019 The Slate Group

<本誌2019年7月23日号掲載>

20190723issue_cover-200.jpg
※7月23日号(7月17日発売)は、「日本人が知るべきMMT」特集。世界が熱狂し、日本をモデルとする現代貨幣理論(MMT)。景気刺激のためどれだけ借金しても「通貨を発行できる国家は破綻しない」は本当か。世界経済の先行きが不安視されるなかで、景気を冷やしかねない消費増税を10月に控えた日本で今、注目の高まるMMTを徹底解説します。


ニューズウィーク日本版 トランプの帝国
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年2月10号(2月3日発売)は「トランプの帝国」特集。南北アメリカの完全支配を狙う新戦略は中国の覇権を許し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

クレディ・アグリコル、第4四半期は39%減益 一時

ワールド

台湾の追加防衛支出案、通過しなければ国際社会に誤解

ワールド

インド通貨、88.60─89.00ルピーまで上昇へ

ビジネス

UBS、第4四半期純利益56%増で予想上回る 自社
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 3
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗り物から「勝手に退出」する客の映像にSNS批判殺到
  • 4
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 5
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 6
    地球の近くで「第2の地球」が発見されたかも! その…
  • 7
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 8
    最長45日も潜伏か...世界が警戒する「ニパウイルス」…
  • 9
    アジアから消えるアメリカ...中国の威圧に沈黙し、同…
  • 10
    ICE射殺事件で見えたトランプ政権の「ほころび」――ア…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 6
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 7
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 8
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 9
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 10
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中