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人気ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』が問う、国と正義と人の倫理

GoT Makes Us Think About Good and Evil

2019年6月22日(土)15時10分
ダイアン・ウィンストン(ジャーナリスト)

ドラゴン攻撃は是か非か

善人デナーリスと悪人デナーリスの大きなギャップを、私たちはどう納得すればいいのか。ヒロインの豹変は筆者の娘の夢を曇らせ、数多くのファンを激怒させた。

もちろん、デナーリスの変身を予期していたファンもいる。暴虐と圧政に立ち向かうフェミニズムの星だった彼女が、シーズンごとに権力欲を強めていくのを敏感に察知していた人たちだ。うら若い乙女の頃にも、正義へのいちずな思いから非道な行為に手を染めたことがあった。デナーリスは最後の最後で極悪人となってしまったが、それまでの高貴で優しかった姿を忘れない人もいる。

デナーリスについて考えるのは、私たち自身を考えることでもある。ドラゴンの猛烈な炎で人々を焼き尽くす行為は正しかったのか? 私たちにはドラゴンはいない。しかし1日に何度でも人類を壊滅させるに足る大量破壊兵器がある。ドローンを飛ばして人を殺してもいる。

今のアメリカ大統領は1つの戦争を終わらせて、新たに別の戦争を始めようとしているらしい。私たちはそれを許すのか、非難するのか?

デナーリスの焦土作戦の是非を論じることを通じて、私たちはアメリカ政府の軍事政策を支持するか反対するかの答えを見つけようとする。デナーリスの倫理を問うことは、きっと私たち自身の倫理観を研ぎ澄ますことにも通じる。

よくできた物語は、私たちを楽しませるだけでなく、私たちの目を開かせる。『ゲーム・オブ・スローンズ』よ、このまま終わらないでおくれ。

<本誌2019年6月11日号掲載>

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