EU、次期予算案で原発に資金拠出検討 ドイツは反対

欧州連合(EU)欧州委員会は16日公表の次期中期予算案で、原子力発電に予算を配分する方針を示した。ただ、加盟国間では意見が割れるとみられており、ドイツは即座に反対姿勢を示した。写真はEUの旗。ブリュッセルで2023年11月撮影(2025年 ロイター/Yves Herman)
Kate Abnett
[ブリュッセル 17日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州委員会は16日公表の次期中期予算案で、原子力発電に予算を配分する方針を示した。ただ、加盟国間では意見が割れるとみられており、ドイツは即座に反対姿勢を示した。
予算案は2兆ユーロ規模で、2028─34年が対象。各国が予算の自国シェアを通じて資金調達可能な活動として原発を挙げた。予算は約8650億ユーロとした。
現行予算では、フランスやスウェーデンなどの原発推進派とドイツやオーストリアなどの反対派が長年対立していることを背景に、原発への配分は認められておらず、大幅な方針転換となる。
シュナイダー独環境・気候保護・自然保護・原子力安全相は17日、「EU予算から原発に補助金を拠出することは一切拒否する」と表明。ただ、他の国の原発選択は尊重すると述べた。その上で「エネルギー政策で国家の主権を尊重するということは、原発にEUの資金を要求しないことも意味する。EU予算の4分の1はドイツの納税者が納めている」と主張した。
予算案の成立には全加盟国の承認が必要で、数年を要するとみられている。