最新記事

中国メディア

中国はトランプ訪日をどう報道したか

2019年5月29日(水)19時00分
遠藤誉(筑波大学名誉教授、理学博士)

再来日したトランプ大統領とゴルフに興じる安倍首相(2019年5月26日)  Kimimasa Mayama/Reuters

米中貿易戦争が過熱する中、中国が「敵」であるはずのトランプ訪日をどう扱うかは、中国の対日戦略を分析する材料の一つとなる。4日間考察した結果をご紹介する。

批判を控えた「大報道」ではあるが......

これまではアメリカの大統領が訪日した際は、基本的に批判的視点の報道しか中国にはなかった。トランプ大統領の第一回目の訪日(2017年11月)においてさえ、ゴルフ場で転倒した安倍首相の姿を執拗に報道しまくったものだ。

中央テレビ局CCTVを始めとして、たとえば知的レベルが高いサイトの「観察網」や庶民的な「看看新聞」あるいはポータルサイト「捜狐(Sohu)」など、今でも動画が残っている。

しかし今回は違う。

揚げ足取りやバッシングがあまり見られず、多少の皮肉を込めたコメントはあるものの、ほぼ「客観的事実」を述べているのに近い。

たとえば香港メディアではあるものの、中国共産党のコントロール下にある「鳳凰網」の「トランプ(特朗普)訪日」特集サイトをご覧いただきたい。日本でも、ここまで微に入り細にわたって報道しているページは少ないと思われるほど情報が揃っている。おまけに一つ一つの項目をクリックすると、さらに詳細に各項目に対する説明と画像がある。

中国共産党と中国政府(党と政府)自身が、ここまでの「大特集」を組んだのでは、さすがに中国人民に違和感を与え、「党と政府」の意図に疑いの目が向けられていくだろう。そういう時に都合よく使うのが、この「鳳凰網」なのである。何か言われたら、「いや、あれは香港メディアだから」と言い逃れができるようにしておきながら、完全に「党と政府」の指示で動いている。

そうさせておきながら、用心のためにCCTVは「央視網新聞」(CCTVネット新聞)で、ネットユーザーの「親日政府」という批判を回避するかのように「トランプ、訪日二日目に声を立てずに安倍に二つの大きな落とし穴を準備していた」という、やや皮肉を込めた視点の論評を出している。

まずゴルフ場における自撮りの写真に関して「トランプは目が見えなくなるほど目を細めて笑い、安倍はあまりに笑顔を見せたために虫歯まで露呈してしまった」という説明がある。安倍首相がそれをツイッターにアップしたので、早速アメリカのネットユーザー(MaviSeattle)から反応があり、"Please keep him in Japan. Most of us don't want him returen to the US."(どうか彼=トランプを日本に留めておいてほしい。われわれの多くは彼がアメリカに戻ってくることを望んでいない)というツイートに書いてあると紹介。このツイートに対して、1時間で7000個の「賛成(いいね!)」があり、3000回リツイートされたと、説明がご丁寧だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、カーグ島再攻撃を示唆 イランとの取引「

ワールド

UAEフジャイラで石油積載一部停止、無人機攻撃受け

ワールド

トランプ氏 、 ホルムズ海峡に多くの国が軍艦派遣と

ワールド

EXCLUSIVE-トランプ政権、イラン停戦交渉を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 2
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革命をもたらす「新世代ドローン」とは?
  • 3
    イラン攻撃のさなか、トランプが行った「執務室の祈祷」を中国がミーム化...パロディ動画が拡散中
  • 4
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 5
    ファラオが眠る王家の谷に残されていた「インド系言…
  • 6
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 7
    機内で「人生最悪」の経験をした女性客...後ろの客の…
  • 8
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 9
    ホルムズ封鎖で中国動く、イランと直接協議へ
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 8
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 9
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 10
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中