最新記事

極右

トランプ元側近バノン、 欧州で極右の元締めに?

Exiled by Trump, Steve Bannon Could be About to Rise Again in Europe

2019年5月29日(水)19時00分
クリスティナ・マザ

フランスの極右政党、国民戦線の集会に参加したマリーヌ・ルペン党首とスティーブ・バノン元米首席戦略官(2018年3月)Pascal Rossignol- REUTERS

<トランプ政権の元幹部スティーブ・バノンがパリを拠点に暗躍、欧州議会選挙後のヨーロッパで国境を超えたポピュリスト同盟を創ろうとしている>

2017年にトランプ政権を去って以来、スティーブ・バノン元米首席戦略官は、活動の場をヨーロッパに移している。めざすのは、極右政治家を結集し、国境を超えたポピュリスト同盟を設立することだ。イタリアの反移民・極右政党「連盟」の党首マッテォ・サルビーニ副首相兼内務大臣も、長年の盟友バノンの下に馳せ参じる予定だ。

各国のポピュリスト政治家たちはサルビーニを中心に連携を深めており、バノンは望み通りのものを手に入れるかもしれないという印象もある。

<参考記事>イタリア極右指導者の背後に、「あの男」バノンが

政治学者イヴァン・クラステフは、バノン的なポピュリズムは「今後数十年で、リベラリズムに代わる有力な選択肢になる可能性が高い」と主張する。

主戦場はフランスに

ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)は、サルビーニのポピュリスト同盟を支持している。フィンランドの保守派ポピュリスト政党フィン人党も加わった。この党は欧州内のビザなし移動を可能にするシェンゲン協定からの脱退とロシアとのビザなし協定締結を主張している。オランダの極右政党自由党のリーダー、ヘルト・ウィルダースも参加した。

だが、ポピュリストとEU派の本当の戦いの場になると予想されるのはフランスだ。バノンはまさにそこを本拠地にし、パリの高級ホテルで過ごしている。中道のエマニュエル・マクロン仏大統領はバノンの存在に腹を立て、バノンはロシアのオリガルヒ(新興財閥)と組んでEUの弱体化を仕組んでいると非難した。

欧州を一体と考える汎ヨーロッパ主義の新政党「ボルト」は、フランスはヨーロッパの将来にとって重要だと言う。「EU懐疑派やポピュリストはヨーロッパでは無用の存在だ」と、ボルトのダニエラ・ラモス・ヒラルドは言う。「ドイツやフランスがEU懐疑派になってしまったら影響はとても大きい。明け渡すことはできない」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国万科、債権者が社債償還延期を拒否 デフォルトリ

ワールド

トランプ氏、経済政策が中間選挙勝利につながるか確信

ビジネス

雇用統計やCPIに注目、年末控えボラティリティー上

ワールド

米ブラウン大学で銃撃、2人死亡・9人負傷 容疑者逃
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 6
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中