最新記事

極右

トランプ元側近バノン、 欧州で極右の元締めに?

Exiled by Trump, Steve Bannon Could be About to Rise Again in Europe

2019年5月29日(水)19時00分
クリスティナ・マザ

欧州議会選挙の結果、ポピュリスト政党が獲得した議席はほぼ横ばいだった。しかし欧州議会を仕切ってきた二大会派は過半数を割り、中道右派や中道左派が欧州議会を支配できる時代ではなくなった。

とはいえ、ポピュリスト陣営も分裂しているため、主流派の政治家たちに本格的な挑戦を突き付けることはできないと、政治アナリストのヨルン・フレックは論じる。

フランスの極右政党、国民連合のマリーヌ・ルペン党首は、サルビーニの同盟に対する支持を表明した。だが彼女は5月26日の選挙までの間、バノンとの距離を広げようと試みており、記者団にバノンは「選挙運動にはまったく関係ない」と伝えている。

バノンは自身を選挙の単なる「オブザーバー」と語った。だが報道によれば、バノンは投票日前にパリでルペンと会っていた。

バノンはグローバルなポピュリスト運動のまとめ役になりたいと言う。フランスのルペンやハンガリーの極右ビクトル・オルバン首相、さらにはフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領までを結びつける役割を果たしたい、というのだ。

バノンはまた、ヨーロッパの右腕として、ベルギーの極右政党『人民党』党首のミシャエル・モドリカメンのような男を味方につけている。

だが、バノンの仲間のなかには、イタリアのサルビーニ一派と距離を置く者もいる。ハンガリーのオルバンやイギリスの「ブレグジット党」党首ナイジェル・ファラージだ。ファラージは、イギリスで欧州議会の第1党の地位を手に入れた今、国内の支持者を増やすため、極右路線からは離れつつある。

オルバンは、その反EU的な発言のために、欧州議会で中道右派の議員が所属する「欧州人民党グループ(European People's Party group/EPP)」から参加を拒否された。しかしそれでも、サルビーニのポピュリストグループには入らなかった。ポーランドの極右政党「法と秩序」もサルビーニの誘いを断っている。

20190604cover-200.jpg
※6月4日号(5月28日発売)は「百田尚樹現象」特集。「モンスター」はなぜ愛され、なぜ憎まれるのか。『永遠の0』『海賊とよばれた男』『殉愛』『日本国紀』――。ツイッターで炎上を繰り返す「右派の星」であるベストセラー作家の素顔に、ノンフィクションライターの石戸 諭が迫る。百田尚樹・見城 徹(幻冬舎社長)両氏の独占インタビューも。

ニューズウィーク日本版 豪ワーホリ残酷物語
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月9日号(9月2日発売)は「豪ワーホリ残酷物語」特集。円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代――オーストラリアで搾取される若者のリアル

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ADP民間雇用、8月は5.4万人増 予想下回る

ビジネス

米の雇用主提供医療保険料、来年6─7%上昇か=マー

ワールド

ウクライナ支援の有志国会合開催、安全の保証を協議

ワールド

中朝首脳が会談、戦略的な意思疎通を強化
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...地球への衝突確率は? 監視と対策は十分か?
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中