リラ安止まらず2年で約半値 トルコに打開の一手はあるか?

5月21日、トルコは、過去2年間で40%超も値下がりした通貨リラの下支えに苦戦し、リラ安が止まらずに市場からの信頼が失われ、対外支払い問題が深刻化するリスクに直面している。写真はリラ紙幣。イスタンブールで2018年8月撮影(2019年 ロイター/Murad Sezer)
トルコは、過去2年間で40%超も値下がりした通貨リラの下支えに苦戦し、リラ安が止まらずに市場からの信頼が失われ、対外支払い問題が深刻化するリスクに直面している。外貨準備が少ない中で、こうした流れを反転させるために同国が打ち出せる手段は何があるのか、投資家の間でも探る動きが続く。
もしトルコが全面的な危機に陥って国際金融資本市場から締め出されることになれば、他の方法で400億-900億ドルの資金を確保しないと、何らかの形でデフォルト(債務不履行)が起きる、とアナリストはみている。
外国投資家が想定したいくつかの今後のシナリオを以下に示す。
市場で時間稼ぎ
トルコの借り入れコストは跳ね上がっているとはいえ、まだ国際金融資本市場から出て行く必要があるほどの水準にはなっていない。債務の対国内総生産(GDP)比は年末までに約35%に上がる見込みだが、主要新興国の中ではまだ比較的低く、ある程度キャッシュを確保したり、目減りした外貨準備を補充できる。
政府は既に昨年10月以降、外貨建てで6回起債しており、総額は94億ドルに達した。今年については当初予定借入額80億ドルの8割が調達済みだ。
ただもっと資金が必要になるかもしれず、経済が非常に緊迫している局面での起債はコストが高くなり、将来の過重な返済負担が生じかねない。1月に発行した10年債(20億ドル)の利回りも7.68%と、1年前の2倍近くの水準だった。同債の足元の利回りは8%を上回っている。
債券資本市場バンカーやファンドマネジャーは、トルコが今から新たに起債する場合、40-60ベーシスポイント(bp)のプレミアムを乗せなければならないと見込む。
一方で返済コストは財政を一段と圧迫している。ムーディーズの試算では、トルコ政府の名目ベースの利払い費用は昨年30.4%、今年第1・四半期に約50%も増加した。リラ安と返済額自体が増えたことが原因だ。2017年に5.9%だった利払い費の歳入に占める割合は、8.2%前後まで高まると予想されている。
また市場での借り入れは対外赤字を幾分穴埋めしてくれるものの、トルコへのプレッシャーが高まれば、状況悪化に歯止めをかけるには力不足だろう。