最新記事

極右

絵文字や自撮りのメッセージで結束狙う欧州極右勢力、分断に終止符か

2019年4月15日(月)10時15分

イタリアのサルビーニ副首相(右)は、フランス極右政党のリーダーであるマリーヌ・ルペン氏(中央)に絵文字入りのテキストメッセージを送ったり、オーストリアの極右政治家ハインツクリスティアン・シュトラッヘ氏(左)と撮ったセルフィー(自撮り)画像を投稿したりしている。ミラノで2016年1月撮影(2019年 ロイター/Alessandro Garofalo)

イタリアのサルビーニ副首相は、フランス極右政党のリーダーであるマリーヌ・ルペン氏に絵文字入りのテキストメッセージを送ったり、オーストリアの極右政治家ハインツクリスティアン・シュトラッヘ氏と撮ったセルフィー(自撮り)画像を投稿したりしている。

イタリアの極右政党「同盟」の党首であるサルビーニ氏は、プラハからソフィアに至るまで、欧州各国の右派集会に設置された大型スクリーンから笑顔を振りまいている。

欧州連合(EU)の立法府にあたる欧州議会選挙を5月26日に控え、自身の成功と有権者の主要政党離れに鼓舞されて、サルビーニ氏は欧州極右政党の連携を目指している。

欧州2大政治勢力が過半数を失うと予想される中、サルビーニ氏をはじめとする極右政党のリーダーたちが狙っているのは、欧州議会において法案の成立を阻止・停滞させるだけの議席を持つ野党、欧州懐疑派連合を形成することだ。

サルビーニ氏の外交顧問を務めるマルコ・ザンニ氏はロイターに対し、「われわれが考えているのは、団結することによって、われわれの共通点である欧州に対する懐疑主義をもっと反映するような新会派を結成することだ」と語った。「力を合わせるには、今はまたとないチャンスだ」

だが、サルビーニ氏がミラノで欧州議会選に向けた選挙運動を開始する際に代表を派遣するのは、欧州の極右政党の中でも比較的小規模な3党のみになりそうだ。ルペン氏は顔を出さない。ポーランドで政権を握る「法と正義」(PiS)のヤロスワフ・カチンスキ党首の代理も参加しないだろう。

サルビーニ氏は来月、はるかに規模の大きな集会を開くと宣言している。だがルペン氏その他の主要な極右・ナショナリズム政党のリーダーの不参加は、これらグループの連帯を長年にわたって邪魔してきた政策上の相違とライバル関係を物語っている。

極右政党のリーダーたちの間では、EUの「リベラル」路線を修正し、加盟国政府の権限を取り戻すというイデオロギー的な目標でおおむね一致している。だが、それ以外の分野では相違点がある。トランプ米大統領の首席戦略官を務めたスティーブ・バノン氏は、欧州のポピュリスト勢力の間の橋渡しを図ったものの、失敗に終わった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が

ビジネス

NY外為市場=ドル対ユーロで軟調、円は参院選が重し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中