最新記事

中国

米中交渉──中国「技術移転強制を禁止」するも「中国製造2025」では譲らず

2019年2月14日(木)13時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

米中通商協議のために北京入りした米閣僚ら(右端はムニューチン米財務長官) Jason Lee-REUTERS

交渉期限が3月1日に迫る中、中国は3月5日から開催する全人代で外商投資法改正案を採決し、技術移転強制を禁止することになっている。中国は貿易面では譲歩するが、「中国製造2025」に関しては絶対に譲らない。

3月の全人代で外商投資法に関する「技術移転強制禁止」を採決する見込み

1月29日、中国の全人代(全国人民代表大会)常務委員会は、外商投資法草案に関する会議を開催した。2月24日までに全国の人民に対して意見を募集し3月5日から始まる全人代で決議する。同法案の目玉は「外資の中国への投資の際、技術移転強制等を禁止する」項目が加わったことである。また中国が締結もしくは参加する国際条約および協定が外国投資家の待遇について別に規定している 場合は、その規定に従うとも謳っている。これは、たとえば中国はWTOに加盟しているわけだから、そこに「外国投資家の待遇」について書いてあれば、WTOの規定を優先して、その規定に従うという意味である。

同法案の草案は昨年12月23日に初めて提起され、全人代常務委員会のレベルで討議されてきたが、草案提起から採決までわずか3ヵ月弱しか費やさない法案も珍しい。トランプ政権が、中国による知的財産権の侵害や外国企業が中国に投資する際に核心的技術の移転を中国が強制してきたことに対する批判を強めてきたことが原因の一つだ。

民間企業に対する投資の際にも、中国政府はこれまで技術移転の強要や外資事業に対する、(アメリカから見れば)違法な介入をしてきた。中国はそのようなことはしていないと抗議してきたが、昨年12月1日、アルゼンチンで開催されたG20首脳会談において行なわれた米中首脳会談で、トランプ大統領は「3月1日までに米中が合意しなければ、年間輸入総額2000億ドル規模の中国製品に対する追加関税率を10%から25%に引き上げる」と予告した。この問題をトランプが喜ぶ方向で改善し、先ずは米中貿易摩擦をいくらかでも解消しておこうというのが中国政府の狙いだ。

大豆など貿易面では譲歩

そのために、中国がアメリカによる高関税の報復として大豆などにかけてきた高関税を緩和し、大豆の大量輸入をすることによってトランプ大統領のご機嫌をなだめようともしている。

というのも、アメリカ産大豆の輸出先の60%は中国が占めていた。しかもアメリカの大豆生産者はトランプの大票田だった。ところが中国が報復関税として25%もの高関税をアメリカ産大豆にかけたものだから、大票田だったアメリカの大豆生産者たちは大きな痛手を受けトランプを恨むようになった。トランプにとっては非常に痛いしっぺ返しとなっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ヒムズ、FDA警告で最安値の経口肥満症薬の販売中

ワールド

イスラエル、ヨルダン川西岸で権限強化 土地購入規制

ビジネス

銀行・信金計の貸出平残、1月は4.5%増 残高は最

ワールド

ウォーレン議員、FRB議長への捜査決定巡りトランプ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日本をどうしたいのか
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本…
  • 5
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 6
    背中を制する者が身体を制する...関節と腱を壊さない…
  • 7
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 8
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 9
    心停止の8割は自宅で起きている──ドラマが広める危険…
  • 10
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 8
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 9
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 10
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中