最新記事

ドイツ

兵士のなり手不足のドイツ軍、外国人徴募を検討 徴兵復活も

Germany’s Struggling to Address Troop Shortage

2019年1月10日(木)16時47分
トム・オコナー

ドイツ連邦軍の新兵宣誓式(2010年7月20日、ベルリン) Thomas Peter-REUTERS

<ロシアとの緊張が高まるなか、欧州には徴兵などで武装強化を図る動きが広がっている>

ドイツ連邦軍は兵員不足に対処するため、外国人の入隊を認めることを検討している。

法的には、連邦軍に入隊するにはドイツ国籍をもち、ドイツに忠誠を誓うことが条件になる。だが2017年11月時点で連邦軍の現役兵は18万997人で、欠員は深刻な問題だ。

ドイツでは2011年に徴兵制が廃止され、連邦軍は18歳以上の志願兵を募ってきた。しかし、地域情勢の悪化を受けてフランスはじめ近隣諸国は徴兵制の復活を検討。ドイツでも復活が議論されているが、連邦軍は当面外国人の受け入れで欠員を補充する考えのようだ。

米誌ナショナル・インタレストは最新号でこの問題を取り上げている。ドイツのニュース週刊誌シュピーゲルは先月、入手した文書を引用して、連邦軍はドイツ在住のポーランド人、ルーマニア人、イタリア人の新兵採用を検討していると伝えた。

しかも問題は単に人数の不足ではない。サイバー攻撃に対処できる高度な専門知識をもつ人員が決定的に足りない。

エーベルハルト・ツォルン連邦軍総監は先月、人員のギャップを埋めるために「あらゆる方法を検討し、適性をもつ訓練兵を確保する必要がある」と、ドイツのフンケ新聞グループに語った。特に医療と情報技術の専門家を必要としており、EU加盟国の出身者受け入れも「選択肢の1つ」だという。

サイバー防衛の強化が急務

中道左派の社会民主党(SPD)の議員で、連邦議会の軍事コミッショナーを務めるハンスペーター・バルテルスは、今でも連邦軍には「移民やその家族、あるいは二重国籍の兵士が多く」いるので、EU加盟国出身者の入隊には「さほど違和感はない」だろうと、ドイツの国際放送ドイチュ・ベレに語った。

ドイツ国防省は2016年12月、「連邦軍の人員戦略」と題した報告書で、「EU市民を兵士として受け入れる可能性を検討する」と発表。その後ドイツ通信社の取材に、同省の報道官は「連邦軍は拡大中」で、「有資格の人員が必要」だと答え、受け入れに向けた動きが着々と進んでいることを印象づけた。

EU各国が軍備増強を目指す背景には、ロシアとの緊張の高まりがある。ロシアの政府系ハッカーは欧米諸国の選挙に介入し、政府機関やインフラを狙った攻撃を繰り返しているとみられ、ドイツ連邦軍は新たな脅威に対処するため、2017 年4月にサイバー情報戦部隊を新設した。

NATOはロシアとの国境地帯の防衛を強化しているが、ドナルド・トランプ米大統領がドイツ、フランス、イギリスなど欧州のNATO加盟国に、国防支出を増やして同盟への貢献度を高めるよう要求するなど、頼みのアメリカと欧州の加盟国との関係はぎくしゃくしている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

レバノン、イスラエルとの協議に向け一時停戦提唱 米

ワールド

ネタニヤフ氏の汚職裁判12日に再開 イスラエル、非

ビジネス

米2月PCE価格指数、0.4%上昇に伸び加速 利下

ワールド

イスラエル首相、レバノンとの和平交渉開始指示 米で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポケモンが脳の発達や病気の治療に役立つかも
  • 3
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 4
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 5
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 6
    戸建てシフトで激変する住宅市場
  • 7
    高学力の男女で見ても、日本の男女の年収格差は世界…
  • 8
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 9
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 10
    「嬉しすぎる」アルテミスII打ち上げのNASA管制室、…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 7
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 8
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 9
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 10
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 9
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中