最新記事

健康

米ジョンソン・エンド・ジョンソン、ベビーパウダーへのアスベスト混入を隠ぺい? 社内報告書などで発覚

2018年12月17日(月)17時18分

ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、少なくとも1970年代から同社のベビーパウダーに発がん性があるアスベストが混入していた試験結果を知りながら隠した疑いがある。Shannon Stapleton / REUTERS

米医薬品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、少なくとも1970年代から同社のベビーパウダーに発がん性があるアスベストが混入していた試験結果を知りながら隠した疑いがある。ロイターが同社の社内報告書やメモ、供述書などを精査し確認した。

ロイターの調査によると、J&Jは少なくとも1971年から2000年代前半にかけて、ベビーパウダーなどに少量のアスベストが含まれるという試験結果が出ていた。同社幹部や鉱山幹部、科学者、医者や弁護士などは問題を把握し対応策を検討したが、当局への報告や消費者への開示はしていなかった。また、パウダーの原料となるタルク(滑石)などに含まれるアスベストの量に制限を設けようとした当局の計画や、健康への影響に関する科学者の調査に対しても影響力を行使しようとし、成功したという。

最も早くアスベスト含有に言及していたのは、1957-58年の研究所による報告で、イタリア企業が販売したJ&Jのパウダーには繊維状や針状の「トレモライト」が含まれていたとする内容だった。トレモライトはアスベストに分類される鉱物の1種。

2000年前半にかけて、J&J内の科学者や社外の研究所、同社が商品を供給している企業も同様の報告をしている。報告書では、パウダーに含まれるのはアスベストまたは通常アスベストに分類されるものであると指摘している。

1976年に米食品医薬品局(FDA)が化粧品のパウダーに含まれるアスベスト含有量に制限を設けようとしていたとき、J&Jは当局に対し1972年12月ー73年10月にかけて同社商品にアスベストは見つからなかったと報告していた。しかし72-75年に研究所3カ所が実施した少なくとも3つの試験ではアスベストが見つかっており、そのうち1つでは「比較的高水準」のアスベストが検出されたにもかかわらず、当局には報告しなかったという。

ロイターが入手した社内書類の多くではアスベストは含まれていないとの結果だったが、J&Jは社内調査でも常にアスベストが検出されないようにする手法を採用しており、調査対象とするパウダーも非常に少量だったという。

J&Jは、タルクは安全という従来の主張を崩していない。同社のグローバルメディア担当バイスプレジデント、アーニー・ニューウィッツ氏は、ロイターの取材にメールで回答し「当社のタルクはアスベストを含んでおらず、がんの原因にはならないことを多くの試験が証明している」と主張。「当社がタルクの安全性について把握していた、あるいは情報を隠していた、とする主張は間違っている」と強調した。

一部の書類はこれまでに消費者による訴訟で明らかになったり、一部で報道されたりしたが、ほとんどは裁判所の指示で同社の機密扱いとなっており、公になったのは今回が初めて。

J&Jのパウダーを巡っては、タルクを原料に含む商品でがんになったと主張する人たちが数千件の訴訟を起こしている。

[ロサンゼルス 14日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 トランプの大誤算
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年4月14号(4月7日発売)は「トランプの大誤算」特集。国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、海峡の安全確保で欧州に関与要求 NAT

ワールド

ホルムズ海峡の石油輸送、イランの対応「不十分」=ト

ワールド

20日分の石油備蓄、5月上旬以降放出する=高市首相

ワールド

ロシアがイースター停戦表明、11─12日 ウクライ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 3
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡散──深まる謎
  • 4
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 5
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 6
    戸建てシフトで激変する住宅市場
  • 7
    高学力の男女で見ても、日本の男女の年収格差は世界…
  • 8
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 9
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 10
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 7
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 8
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中