他人事じゃない? 中国のイルカやシャチのショーに欧米から批判、マリンパーク急増で
違法捕獲
中国鯨類保護連盟によると2014年以降、クジラやイルカ、ネズミイルカなどを含め、鯨類872頭が中国で捕獲されている。
現在のところ、こうした鯨類の取引を制限する地方政府の規制や国際的スタンダードはない、と海南省にあるリゾート施設アトランティス三亜で水族館施設の管理を担当するルシオ・コンティ氏は言う。
コンティ氏によると、絶滅が危ぶまれる野生動物の違法取引が拡大していることを背景に、アトランティスでは、動物福祉の基準策定を政府に働きかけているという。
「この島の漁師は、頼まれれば何でも手に入れてくる。ジンベエザメでも何でも、絶滅危惧種も、そうでないものも捕まえてくる。何も規制がないからだ」
中国政府の文化観光部はロイターのコメント依頼に対して、野生動物の保護を担当する国家林業局に取材するよう促した。同局は、ロイターからの質問を国家海洋局に回したが、海洋局は自然資源部にそれを転送。自然資源部はその質問を農業農村部に回したものの、農業農村部から回答はなかった。
中国のマリンパークの多くは、ジンベエザメやシロイルカ、イルカやオニイトマキエイ(マンタ)を飼育している。だが、黒と白がくっきりと分かれた胴体で知られるシャチが公に展示された例は、現段階では確認されていない。
ワシントン条約(CITES)によると、2013─2016年にかけて、少なくとも13頭のシャチがロシアから中国に輸入された。2017年にはさらに2頭が輸入され、今年さらにその数が増える予定だと、ドルフィン・プロジェクト・ロシアのオクサナ・フェドロバ氏は指摘する。
CITESは、取引にかかわった企業名を明かしていない。
英保護団体のホエール・アンド・ドルフィン・コンサベーションによると、長隆海洋王国が9頭、上海海昌海洋公園が4頭、無錫長喬海洋王国が2頭のシャチをそれぞれ保有しているという。
野生のシャチやシロイルカを中国に提供している唯一の国であるロシアは7月、シャチ7頭の違法売買について捜査を始めたと発表した。
ロシア検察庁の声明によると、4社がこの売買に関わっていたが、それぞれの会社名や、シャチの売却先は明らかにされなかった。
ロシアは2018年、シャチ13頭の捕獲枠を承認。8月に監視活動を行った活動家によれば、すでにオホーツク海で数頭のシャチが捕獲されたという。
「問題は、中国で生まれている需要にある」とフェドロバ氏は指摘。団体オーシャン・フレンズが組織した活動家らと監視活動を行った同氏は、7人編成のこのチームは捕獲者から脅迫を受けたり、狙撃されたり、盗難の被害にあったりしたと話す。
ドローンが撃墜されたため、彼らはシャチ捕獲場面は録画できなかったが、オーシャン・フレンズの提供写真には、ロシア船の輸送タンクにシャチ2頭が捕らえられているところが写されている。船の所有会社は、シャチの輸送をしただけで捕獲はしていないと説明した。