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イギリスブレグジット交渉、EUは10月合意目指す 英国に「合意なき離脱」への備え警告
9月20日、欧州連合(EU)の加盟国首脳は、英国との離脱交渉について、来月中の合意を目指す姿勢を示す一方で、メイ英首相(写真右)が11月までに貿易やアイルランド国境問題で譲歩しなければ、合意なしの離脱に備えると警告した。ザルツブルクで撮影。写真左は 欧州連合(EU)欧州委員会のユンケル委員長(2018年 ロイター/Leonhard Foeger)
欧州連合(EU)の加盟国首脳は20日、英国との離脱交渉について、来月中の合意を目指す姿勢を示す一方で、メイ英首相が11月までに貿易やアイルランド国境問題で譲歩しなければ、合意なしの離脱に備えると警告した。
EUはこの日までオーストリアのザルツブルクで非公式首脳会議を開催。欧州委員会のユンケル委員長は、来年3月の英離脱までに合意できない場合に備えた計画が各国にはあると述べた。
メイ首相は、アイルランドと英領北アイルランドとの間に「ハードボーダー(厳格な境界管理)」を設けない新たな提案を行うとしているが、同時に合意なしの離脱の可能性も示した。
トゥスク大統領は同日、英国との離脱交渉は10月に開催される欧州理事会が「正念場」になるとの認識を表明。会議後に、「メイ首相の提案には前向きな要素が含まれているものの、提案された経済協力の枠組みで単一市場が損なわれるリスクがあるため、うまく機能しないとの見解で一致した」とし、「ブレグジット交渉を巡っては10月の欧州理事会が正念場となる。10月に最大の進展が得られると期待している」と述べた。
ドイツのメルケル首相も、11月にEUと英国が離脱条件などで合意するためには10月に交渉を大幅に進展させる必要があるとの見解を表明。
メイ首相の提案は交渉を進める上での良いたたき台となっているとしながらも、EUと英国の将来的な通商関係を巡りなお多くの協議を行う必要があるとの認識を示し、「10月中に協議を大幅に進展させ、その後11月にすべての最終決定を目指す必要があることが明白になった」と述べた。
その上で、「単一市場に参加していなければ単一市場に属することはできない。しかし、多くの創造性を働かせて、実用的かつ良好で緊密な関係を見出すことはできる」と期待した。
フランスのマクロン大統領は、メイ首相案は「素晴らしく、そして勇敢なステップだった」とする一方で、「われわれは現状のままでは受け入れられないということで一致した」と強調した。
EUは11月17─18日にブリュッセルで首脳会議を開く予定。英国は来年3月29日にEUを離脱する。
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