最新記事

イギリス

ブレグジット交渉、EUは10月合意目指す 英国に「合意なき離脱」への備え警告

2018年9月21日(金)10時46分

9月20日、欧州連合(EU)の加盟国首脳は、英国との離脱交渉について、来月中の合意を目指す姿勢を示す一方で、メイ英首相(写真右)が11月までに貿易やアイルランド国境問題で譲歩しなければ、合意なしの離脱に備えると警告した。ザルツブルクで撮影。写真左は 欧州連合(EU)欧州委員会のユンケル委員長(2018年 ロイター/Leonhard Foeger)

欧州連合(EU)の加盟国首脳は20日、英国との離脱交渉について、来月中の合意を目指す姿勢を示す一方で、メイ英首相が11月までに貿易やアイルランド国境問題で譲歩しなければ、合意なしの離脱に備えると警告した。

EUはこの日までオーストリアのザルツブルクで非公式首脳会議を開催。欧州委員会のユンケル委員長は、来年3月の英離脱までに合意できない場合に備えた計画が各国にはあると述べた。

メイ首相は、アイルランドと英領北アイルランドとの間に「ハードボーダー(厳格な境界管理)」を設けない新たな提案を行うとしているが、同時に合意なしの離脱の可能性も示した。

トゥスク大統領は同日、英国との離脱交渉は10月に開催される欧州理事会が「正念場」になるとの認識を表明。会議後に、「メイ首相の提案には前向きな要素が含まれているものの、提案された経済協力の枠組みで単一市場が損なわれるリスクがあるため、うまく機能しないとの見解で一致した」とし、「ブレグジット交渉を巡っては10月の欧州理事会が正念場となる。10月に最大の進展が得られると期待している」と述べた。

ドイツのメルケル首相も、11月にEUと英国が離脱条件などで合意するためには10月に交渉を大幅に進展させる必要があるとの見解を表明。

メイ首相の提案は交渉を進める上での良いたたき台となっているとしながらも、EUと英国の将来的な通商関係を巡りなお多くの協議を行う必要があるとの認識を示し、「10月中に協議を大幅に進展させ、その後11月にすべての最終決定を目指す必要があることが明白になった」と述べた。

その上で、「単一市場に参加していなければ単一市場に属することはできない。しかし、多くの創造性を働かせて、実用的かつ良好で緊密な関係を見出すことはできる」と期待した。

フランスのマクロン大統領は、メイ首相案は「素晴らしく、そして勇敢なステップだった」とする一方で、「われわれは現状のままでは受け入れられないということで一致した」と強調した。

EUは11月17─18日にブリュッセルで首脳会議を開く予定。英国は来年3月29日にEUを離脱する。

[ザルツブルク(オーストリア) 20日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 世界も「老害」戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月25日号(11月18日発売)は「世界も『老害』戦争」特集。アメリカやヨーロッパでも若者が高齢者の「犠牲」に

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

和平案巡り協議継続とゼレンスキー氏、「ウクライナを

ワールド

中国、与那国のミサイル配備計画を非難 「大惨事に導

ワールド

韓国外為当局と年金基金、通貨安定と運用向上の両立目

ワールド

香港長官、中国の対日政策を支持 状況注視し適切に対
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナゾ仕様」...「ここじゃできない!」
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 4
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 5
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】いま注目のフィンテック企業、ソーファイ・…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 10
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中