最新記事

小惑星探査

「はやぶさ2」、3年半の宇宙航行を終え、小惑星リュウグウに到着

2018年6月29日(金)12時20分
鳥嶋真也

「はやぶさ2」がリュウグウに到着したことが確認された瞬間の管制室の様子。中央で拍手しているのが「はやぶさ2」プロジェクトを率いる津田雄一プロジェクト・マネージャー (C) JAXA

<6月27日9時35分、小惑星探査機「はやぶさ2」が約3年半の宇宙航行を終え、目的地である小惑星「リュウグウ」から約20km離れた場所にたどり着いたことをもって、「到着」が宣言された>

「人類未踏の探査の入り口に立った」――プロジェクトを率いる津田雄一(つだ・ゆういち)氏は、こう力強く宣言した。

2018年6月27日、小惑星探査機「はやぶさ2」が約3年半の宇宙航行を終え、目的地である小惑星「リュウグウ」に到着した。眼前に広がる、人類が誰も見たことがない未知の世界に、関係者たちは大きな期待と、悩ましげな表情を見せる。

ついにリュウグウに到着

「はやぶさ2」は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2014年12月に打ち上げた小惑星探査機で、地球から約3億km(時期によって変わる)離れた小惑星「リュウグウ」を目指して航行を続けてきた。

もちろん、ただ3億kmをまっすぐに飛べばいいというわけではなく、実際には太陽のまわりを回るリュウグウに合わせるように、「はやぶさ2」もまた、太陽を回りながら、その距離を詰めるようにして飛ぶ必要があった。そのため飛行時間は約3年半(1302日)、総飛行距離は約32億kmにも達した。

「はやぶさ2」の先代にあたる「はやぶさ」は、小惑星までの往路においてトラブルが相次いだ。しかしその教訓がいきたこともあり、後継機である「はやぶさ2」は大きなトラブルを出すことなく、順調に小惑星リュウグウに接近。そして6月27日9時35分(日本時間)、リュウグウから約20km離れた場所にたどり着いたことをもって、「到着」が宣言された。

プロジェクトを率いる津田氏は「天にも舞い上がる気持ち。いつもは慎重さを心がけているが、今日ばかりは諸手を挙げて喜びたい」と、気持ちを爆発させた。

いっぽうで「リュウグウは人類が今日初めて到着した天体。誰も見たことがない、なにもわからない初めての世界の探査に今日から取りかかる。何が起こるか、どんな発見があるかわからない。果敢に挑戦し、創造性をもって立ち向かう」と、強い意気込みも語った。

徐々に明らかになるリュウグウの姿と、探査に向けた期待

リュウグウの探査はこれから本格的に始まるが、到着までに送られてきた画像は、すでに研究者たちを興奮させている。

以前お伝えしたように、リュウグウは「そろばんの珠」のような、円錐の底部を上下に合わせたような形をしている。こうした形の小惑星は「コマ型」と呼ばれ、そんなに珍しいわけではない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

午後3時のドルは154円前半、中東リスクにらみ乱高

ビジネス

日産、24年3月期業績予想を下方修正 販売台数が見

ビジネス

日経平均は大幅反落、1000円超安で今年最大の下げ

ワールド

中国、ロシアに軍民両用製品供給の兆候=欧州委高官
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 6

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 10

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中