最新記事

選挙

イタリア総選挙で躍進の政党「五つ星」 政権入りへ妥協の道歩むか

2018年3月7日(水)09時30分

3月5日、イタリア総選挙で新興組織「五つ星運動」は最大の勝者になった。写真はローマで記者会見する五つ星運動のディマイオ党首(2018年 ロイター/Alessandro Bianchi)

イタリア総選挙で新興組織「五つ星運動」は最大の勝者になった。だが皮肉なことに、政権樹立のためにはこれまで批判対象としてきた既存政党と恐らく手を組まざるを得ず、非常に厳しい選択を迫られている。

左右のイデオロギー色を消し去り、既存政治への不満を持つ有権者を取り込んだ五つ星にとって今回の選挙結果は、これ以上ないぐらいの上首尾だった。強力な中道右派連合の過半数獲得を阻止しただけでなく、単独政党としては2位に得票率で約13%ポイントの差をつけて首位に躍進。五つ星を外して政権を立ち上げるのは、不可能ではないにしても相当難しくなった。

五つ星で最も人気がある政治家の1人、アレッサンドロ・ディバティスタ議員は「五つ星抜きの政権はあり得ない。誰もがわれわれを訪れ、話をしなければならなくなる」と胸を張った。

実際に獲得議席数で計算すれば、ディバティスタ氏の正しさが分かる。五つ星を除外して政権を発足させるためには、実質的に他の全ての政党、つまり極右の「同盟」から現与党で中道左派の民主党(PD)までが連立を組むしかない。

ただ五つ星も単独で政権を担当するほどの議席数は持たないため、つい最近まで排除してきた道を行く必要が出てくる。腐敗勢力でイタリア経済凋落の責任者だとこき下ろしてきた主要政党との妥協だ。

五つ星のルイジ・ディマイオ党首にとって政権樹立には3通りの方法があるが、いずれも落とし穴がひそんでいる。1つ目は、やはり躍進して第2党となった同盟との連携。PDと手を結ぶのが2つ目で、最後は複数の政党と連立を組んで主導勢力となるやり方だ。

これまで五つ星と同盟は、欧州連合(EU)の財政ルールや大企業、ユーロに反感を抱くという共通点があり、政治的に連携するのが自然とみなされてきた。

ただ本来的に五つ星と同盟は毛色が異なる上に、ディマイオ氏がユーロ懐疑主義の姿勢を弱めて主要政党側に歩み寄ったことで、最近はさらに違いがはっきりしている。ディマイオ氏は自らの立場を「親欧州」と位置付け、五つ星はユーロ加盟の是非を問う国民投票実施の公約を取り下げた。

しかも同盟と組めば、五つ星が主な地盤としているイタリア南部の多くの有権者が動揺するかもしれない。同盟は逆に北部を地盤としており、改称前の名乗りは「北部同盟」で、指導部や支持者は南部の人々を怠け者などと嘲笑していた。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

大都市圏の不動産業向け貸出を重点的に検証=26年度

ワールド

米国のコンテナ輸入、2月は6.5%減 過去4番目の

ワールド

中国輸出、1─2月は前年比+21.8%に加速 予想

ビジネス

中国の地方政府、「オープンクロー」中心に産業育成へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「一日中見てられる...」元プロゴルファー女性の「目のやり場に困る」密着ウェア姿がネットを席巻
  • 4
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 5
    人間ダンサーを連れて「圧巻のパフォーマンス」...こ…
  • 6
    ダイヤモンドのような「ふくらはぎ」を鍛える最短ル…
  • 7
    ホルムズ海峡封鎖、石油危機より怖い「肥料ショック」
  • 8
    身長や外見も審査され、軍隊並みの訓練を受ける...中…
  • 9
    トランプも無視できない? イランで浮上した「危機管…
  • 10
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 6
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 7
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 8
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 9
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 9
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 10
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中