最新記事

健康

熱々のお茶は要注意 飲み方によって食道がんのリスクを5倍に

2018年2月19日(月)17時30分
松丸さとみ

お茶を飲む頻度が週1度以下で毎日のアルコール摂取量が15グラム以下の人と比較した場合、熱いお茶と15グラム以上のアルコールを毎日飲む人は、食道がんになる可能性が5倍になった。喫煙者で熱いお茶を毎日飲む人は2倍だった。単に熱いお茶を飲むだけの場合は、がんのリスクはそこまで大きくなかった。

食道がんのリスクを高める原因としてなぜ熱いお茶とアルコールやたばこなのか、という点について、タイム誌によると研究者らは、熱いお茶が食道の内膜に損傷を与えるからではないか、と推測している。損傷したところに喫煙やアルコールなどのさらなるリスク要因が加わることで、食道がんになる可能性が高まるのではないかというのだ。

研究チームはタイム誌に対し、食道がんを予防するには、「アルコールを過剰に飲む人や喫煙者は、熱いお茶を控えることが大切」と話している。しかし「当然、食道がんの予防として一番重要なのは、たばこを吸わないこととアルコールを過剰に摂取しないこと」と加えている。

WHO「お茶、コーヒー、白湯でも65度以上でリスクあり」

タイム誌は2016年の記事で、世界保健機関(WHO)が当時発表した「熱いお茶が食道がんのリスクを高める」という見解を紹介。ここで「熱いお茶」と定義されているのは、65度以上だ。WHOは、お茶のみならずコーヒーや白湯でも、65度以上の場合は食道がんのリスクを高めるとしている。

では65度とはどのくらいの熱さなのだろうか? 前述の2016年のタイム誌は、米国コーヒー協会が推奨するコーヒーの温度は華氏180〜185度(摂氏約82〜85度)と述べている。ちなみに日本のUCCのウェブサイトによると、コーヒーの提供時は80〜82度、飲みごろは68〜70度だ。

つまり、WHOが言う「食道がんのリスクを高める」65度を上回る温度でコーヒーなどを飲んでいる人が多い可能性がある。アルコールの頻度が高い人や喫煙する人は、お茶やコーヒーは念のため少しぬるめと感じるくらいの方が健康にはよさそうだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

中国軍、台湾包囲の大規模演習 実弾射撃や港湾封鎖訓

ワールド

和平枠組みで15年間の米安全保障を想定、ゼレンスキ

ワールド

トルコでIS戦闘員と銃撃戦、警察官3人死亡 攻撃警

ビジネス

独経済団体、半数が26年の人員削減を予想 経済危機
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中