最新記事

セクハラは#MeTooで滅ぶのか

女性に自慰を見せつける男性心理をセックスセラピストに聞く

2017年12月2日(土)10時20分
アンジェリーナ・チャーピン

――なぜ女性を怯えさせることで性的興奮を覚えるのか?

彼らは女性が恐怖を感じ、やめてほしいと懇願するのを好む。そこにはサディズムと冷酷な感情が認められる。女性が弱みを見せるほど、彼らはサディスティックになる。女性が正面から立ち向かっていれば、すぐ引き下がったはずだ。捕食者と獲物の関係とは、そういうものだ。

――鉢植えに射精するのは自滅的な行動に見える。この行為の原因の1つに、捕食者の自己嫌悪と低い自尊心があるのでは?

心理学には「投影性同一視」という概念がある。自分の中の好ましくない感情を他者に重ね合わせることだ。

ワインスティーンは被害者の女性を恥辱まみれに扱った。この女性はワインスティーン本人の自己評価の反映だ。ある意味で彼は、彼女を通して自分自身に「おまえなんか鉢植え程度の価値しかない、ただのゴミだ」と言っている。満たされない思いが、無意識にこのような行動に駆り立てたのだ。

――加害者は行為の後で、恥の意識を感じる?

そのとおり。この種の常習的行為にはまった男性の多くは、「私はセックスと同じぐらい恥の感情に取りつかれていた」と言う。ワインスティーンは女性の前で自慰をするのをやめようとして、できなかったのかもしれない。そんな自分を憎んでいた可能性もある。

――女性に自慰を見せつける男性は、いずれもっと重大な性犯罪に走る可能性が高い?

自慰の見せつけは、エスカレートする可能性が高い性依存症の好例だ。彼らはより強烈な刺激と興奮を求め続けるので、時間の経過とともに以前は越えなかった一線を越えるようになる。

――地下鉄や路上で性器を露出する一般の男性と違い、捕食者が業界の大物である場合、女性との関係はどう変わる?

彼らは自分を法律を超える存在と考え、何かあっても周囲が隠蔽してくれると思っている。被害者についてもこんなふうに考えている。「何も言わないに決まっている。言ったところで誰も信じないからだ。その気になればあの女をつぶせるし、いつでもカネで解決できる」

©2017 The Slate Group

※「セクハラは#MeTooで滅ぶのか」特集号はこちらからお買い求めいただけます。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独消費者信頼感指数、5月は3カ月連続改善 所得見通

ワールド

バイデン大統領、マイクロンへの補助金発表へ 最大6

ワールド

米国務長官、上海市トップと会談 「公平な競争の場を

ビジネス

英バークレイズ、第1四半期は12%減益 トレーディ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中