最新記事

イタリア

【写真特集】八方塞がりのイタリア労働者

2017年11月17日(金)17時40分
Photographs by Michele Borzoni

看護師1人の求人枠に1099人の希望者が殺到し、体育館で公開試験が行われた

<暗いトンネルからの出口を見つけられないイタリア経済。企業の倒産は相次ぎ、わずかな求人枠に仕事を求める人が殺到する>

一向に上向かない景気と巨額の財政赤字を抱え、暗いトンネルからの出口を見つけられないイタリア経済。若年層の失業率が40%近くに達するなか、政治への不満がポピュリズム政治家への支持という形で大きなうねりとなり、経済システムの抜本的な改革は難しくなる一方だ。

フィレンツェ生まれの写真家、ミケーレ・ボルゾーニは苦悩するイタリア社会の映し鏡として、この10年ほど劇的に変化している労働環境に着目。職場や従業員をめぐるさまざまな側面をカメラに収めた。

失業者や安定した仕事を求める人々が公共セクターなどのわずかな求人枠に殺到する一方、企業の倒産は相次ぎ、不要になったオフィス機器などを売る競売が活況を呈している。南部の果樹園に押し寄せるのは、アフリカ出身の不法入国者ら。日雇い労働者として働き、仮設キャンプや工場跡といった過酷な環境での生活を強いられている。

その一方で、新たな雇用の機会も一部ながら生まれている。グローバル企業の物流拠点やコールセンターなどだ。もっとも、厳しい雇用情勢を考えれば、それらの存在は大海の一滴にすぎないかもしれないが。


ppitaly02.jpg

イタリア空軍では3387人の応募者から兵士84人を選考


ppitaly03.jpg

アフリカ出身の日雇い労働者800人が暮らすキャンプ


ppitaly04.jpg

ミカンの収穫期に250人のアフリカ出身者が寝泊まりする南部サン・フェルディナンドの工場跡の建物

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請件数、1.3万件減の22万400

ビジネス

ECBが金利据え置き、4会合連続 インフレ見通し一

ビジネス

米11月CPI、前年比2.7%上昇 セールで伸び鈍

ワールド

米、台湾への武器売却を承認 ハイマースなど過去最大
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 2
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 6
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 7
    円安と円高、日本経済に有利なのはどっち?
  • 8
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 9
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 10
    欧米諸国とは全く様相が異なる、日本・韓国の男女別…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中