最新記事

人権問題

中国、党大会中の言論統制を強化 人権活動家に「休暇」強制

2017年10月24日(火)17時23分


トラック運転手

党大会を前に、強制的な「休暇」を取らされる以外にも、拘束されたり、自宅軟禁下に置かれたり、オンラインで批判的なメッセージを発しないよう警告された活動家もいたと、香港を拠点とする人権擁護団体「チャイニーズ・ヒューマン・ライツ・デイフェンダーズ」は指摘。

同団体はここ数週間で、人権活動家が拘束された例を14件把握しているという。

そのうち1件では、安徽省宣城市のトラック運転手Wu Kemuさんが11日に警察に出頭を求められ、そのまま拘束されていると、妻のFang Liangxiangさんは22日、電話でロイターに語った。

「いつ釈放されるのか教えてくれない。自宅で待てとだけ言われた」とFangさんは語る。拘束の原因は、チャットアプリ「ウィーチャット(微信)」で政府に批判的な発言をしたためではないかという。

Wuさんが拘束されているという宣城市の拘束施設に21日電話したが、応答がなかった。

今年に入り拘束や逮捕、もしくは「休暇」に出された活動家の総数が、過去の重要イベントと比較して多かったかは不明だ。また、そのうち何件が党大会と直接関係しているかも分からない。

当局は、活動家の拘束より強制休暇を好むと語る活動家もいる。重要なイベント期間中に彼らの動きを中断させ、外国人記者との接触を絶つことができるからだ。拘束すれば、かえって注目を集めることになりかねない。

民主化運動家で、HIV感染患者の擁護もしている胡氏は、2008年から国家転覆を扇動した罪で3年半収監され、釈放後もずっと国家の監視下にあるという。

「(強制休暇で)私が最初にしたのは、大理市近くの山にランニングに行くことだった。公安職員は一緒に走れないと分かっていたからだ」と胡氏は語った。同行の公安職員は「ランニングするタイプではない」と言う。

「少しの間、監獄から自由になれたように感じた」と述べた。

胡氏は、党大会の期間中、北京に滞在することが許されていない人物リストを公安職員から見せてもらったといい、そこにはノーベル平和賞受賞者の劉暁波の未亡人、劉霞氏も含まれていたという。

劉霞氏は、劉暁波氏がノーベル賞を受賞した2010年以降、北京市内で事実上の自宅軟禁下におかれている。友人と時折交わしていた連絡さえ、7月に劉暁波氏が死亡して以来、ほとんど途絶した、と友人2人がロイターに語った。

公安部は、劉霞氏の状況に関する問い合わせに回答しなかった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・イランが間接協議、域内情勢のエスカレーション回

ワールド

ベトナム共産党、国家主席にラム公安相指名 国会議長

ワールド

サウジ皇太子と米大統領補佐官、二国間協定やガザ問題

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 6

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 9

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの…

  • 10

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 8

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中