中国、党大会中の言論統制を強化 人権活動家に「休暇」強制
当局を避け、自ら旅行の計画を立てた活動家もいる。
10年以上にわたり中国東部にある太湖の汚染問題を訴えてきた江蘇省無錫市の環境活動家、呉立紅氏は先週、公安当局から電話があり、強制休暇に連れて行くと告げられた、とロイターに明かした。
だが呉氏はすでに、公安当局を避けて北京から遠く離れた東部沿岸部の浙江省に友人を訪ねていた。
「第16回、17回、18回の党大会では、強制休暇を取らされたり、拘束されたり、自宅軟禁されて発言を禁じられたりした」と、呉氏は言う。「今回は、彼らなしで旅行に出ることにした」
公安部からは、「休暇」に連れて行けるよう1度無錫市に戻ることを求められたが、呉氏は、党大会が終わるまで友人と一緒に過ごすと説明して断ったという。今は、公安部からの電話を避けている。
ロイターは,彼の話を独自に確認することはできなかった。中国公安部は、電話番号やファクス番号を公表しておらず、ウェブサイトもない。
草の根が狙われる
習近平国家主席は、2012年に権力の座について以降、人権派弁護士や活動家への締め付けを強化しており、数十人を拘束。人権擁護団体は、組織的に中国の活動家をつぶそうとしていると糾弾する。
新たに導入されたインターネットの言論統制には、たとえ私的なグループチャットであっても批判的コメントに対するユーザーの責任を問う規則や、規制を迂回しようとする技術の取り締まり強化などがある。
香港の民間団体「中国維権律師関注組」のKit Chanディレクターは、 活動家が拘束された最近ケースのいくつかは、当局の取り締まりの新たな方向性を示していると語る。これまでの民主活動家に加え、特定の市民権に特化した小規模な団体も狙っているという。
例えば、南部広州省を拠点とする草の根組織「ヒューマン・ライツ・キャンペーン・イン・チャイナ」を設立したZhen Jianghua氏が、9月1日に珠海市で拘束された。同氏に近い関係筋がロイターに明かした。
公安部に草の根団体を狙った取り締まりについてファックスでコメントを求めたが、回答がなかった。珠海市公安部の電話に出た人物は、Zhen氏の件は把握していないと述べた。
(翻訳:山口香子 編集:下郡美紀)
[北京 22日 ロイター]
