最新記事

人権問題

中国、党大会中の言論統制を強化 人権活動家に「休暇」強制

2017年10月24日(火)17時23分

7月、ノーベル賞受賞者の劉暁波氏の妻劉霞氏が住む北京のアパート前で、写真を撮ろうとしたカメラマンを制止する私服の治安職員(2017年 ロイター/Thomas Peter)

北京を拠点とする中国の著名な人権活動家の胡佳氏は、中国政府が提供してくれる「休暇」の行先として南部の都市厦門を希望したが、公安当局者は首を縦に振らなかった。

「今回はもっと人里離れたところに行けと言われた」。滞在先である南西部の雲南省から、胡氏はロイターの電話取材にそう語った。風光明媚で多彩な少数民族文化がある雲南省は、観光客の人気スポットだ。

人権団体によると、胡氏は、北京で18日から1週間の日程で開催されている第19回中国共産党大会の期間中に、当局によって拘束、監視強化、もしくは「休暇」に出された数十人の活動家の1人だという。5年に1度開かれる党大会では、習近平総書記(国家主席)が権力の掌握をさらに進めるとみられている。

強制休暇に際し、胡氏は2人の政府監視人と一緒に行先を決めた。最初の行き先として古い町並みが残る雲南省大理市を胡氏が提案し、監視役として同行する公安部職員が、2番目と3番目の行き先を選んだ。南部の貴州省貴陽市と沿岸部の北海市だ。

胡氏は3人分の旅費は1万元(約17万円)近くになるとみているが、費用は当局が全て支払う。監視人は旅費を節約しようと安いホテルを選び、バスを移動手段にした、と同氏は言う。

党大会終了から数日後の10月28日、胡氏は飛行機で北京に戻る予定だ。

「観光はできるが、公安がどこにでもついてくる」と、胡氏は語る。

ロイターは、胡氏や他の活動家の話を独自に確認することはできなかった。

中国公安部に民主活動家らの拘束や「休暇」に関する質問状をファクスしたが、回答は得られなかった。活動家の処遇に関する質問に対して、「訴追されたのは社会の安定を脅かした犯罪者で、中国の全ての人は法の下で平等に扱われる」以外の回答を中国当局が寄せるのは、まれだ。

重要な政治イベントの前に、中国当局が人権活動家に対する監視や拘束を強化するのは珍しくない。党や国家に対する批判で知られる著名な活動家の場合は、なおさらだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、ロシア船籍タンカー拿捕 ベネズエラ原油「封鎖」

ビジネス

米ADP民間雇用、12月は4.1万人増 予想下回る

ビジネス

米国やG7と連携、冷静・毅然に対応=中国輸出規制で

ビジネス

PEのクアンタム、ルクオイル海外資産に入札 シェブ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじゃいる」──トランプの介入口実にデンマーク反発
  • 4
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが…
  • 5
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 6
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 7
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 8
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び…
  • 9
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 10
    「悪夢だ...」バリ島のホテルのトイレで「まさかの事…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 10
    感じのいい人が「寒いですね」にチョイ足ししている…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中