最新記事

アメリカ経済

バフェット氏ら著名投資家、トランプ政権の税制改革案を批判

2017年10月4日(水)09時40分

10月3日、ウォーレン・バフェット氏(写真)ら2人の米著名投資家は、法人税の大型減税を柱とするトランプ米政権の税制改革案について、提案されているほど大幅な法人税率の引き下げは必要ないなどとして、批判的な見解を示した。ネブラスカ州オマハで5月撮影(2017年 ロイター/Rick Wilking)

ウォーレン・バフェット氏ら2人の米著名投資家は3日、法人税の大型減税を柱とするトランプ米政権の税制改革案について、提案されているほど大幅な法人税率の引き下げは必要ないなどとして、批判的な見解を示した。

米バークシャー・ハザウェイの最高経営責任者(CEO)であるバフェット氏はCNBCとのインタビューで「米国には数多くの企業があるが、法人税率が理由で世界で競争力を失っている企業は1つもないはずだ」と述べた。

米ブラックロックのラリー・フィンクCEOはブルームバーグテレビとのインタビューで、法人税率を27%に引き下げれば米企業にとって十分な減税措置になると同時に、財政赤字の拡大を回避できるとの見方を示した。

「提案されているのは、かなり大幅な赤字の拡大だ」として懸念を示した。

トランプ政権が前月示した税制改革には、法人税率を現行の35%から20%に引き下げる案が盛り込まれた。独立系アナリストらの試算によると、税制改革案の減税規模は最大で6兆ドルに上るとみられる。

トランプ政権や共和党指導部は、税収減は税の抜け穴をふさぎ、控除や税制優遇措置を廃止するとともに経済成長率を押し上げることで相殺できるとの見方を示している。

バフェット、フィンク両氏はまた、共和党が提示している法人減税以外の案も批判。バフェット氏は、遺産税の撤廃は国内の最富裕層に不必要に利益をもたらすため「とんでもない誤り」になると強調。フィンク氏は、州・地方税を連邦所得税の控除対象とすることを廃止する案が盛り込まれた場合、税制改革法案は議会を通過できなくなると予想した。

共和党の一部議員は、州・地方税の控除廃止によって、減税による財政赤字の大幅拡大を防ぐのに必要とされる4兆ドルの歳入の約4分の1に相当する額が確保できると主張。ただ、ニューヨークやカリフォルニアといった州税が高水準な州の共和党議員は控除廃止に反対している。

[3日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ドイツ銀、第3四半期は黒字回復 訴訟引当金戻し入れ

ビジネス

JDI、中国安徽省の工場立ち上げで最終契約に至らず

ビジネス

ボルボ・カーズの第3四半期、利益予想上回る 通年見

ビジネス

午後3時のドルは152円前半、「トランプトレード」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:米大統領選 イスラエルリスク
特集:米大統領選 イスラエルリスク
2024年10月29日号(10/22発売)

イスラエル支持でカマラ・ハリスが失う「イスラム教徒票」が大統領選の勝負を分ける

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 2
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」ものはどれ?
  • 3
    リアリストが日本被団協のノーベル平和賞受賞に思うこと
  • 4
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「…
  • 5
    トルコの古代遺跡に「ペルセウス座流星群」が降り注ぐ
  • 6
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 7
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 8
    中国経済が失速しても世界経済の底は抜けない
  • 9
    ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせ…
  • 10
    「ハリスがバイデンにクーデター」「ライオンのトレ…
  • 1
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 2
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 3
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア兵の正面に「竜の歯」 夜間に何者かが設置か(クルスク州)
  • 4
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 5
    目撃された真っ白な「謎のキツネ」? 専門家も驚くそ…
  • 6
    ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせ…
  • 7
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「…
  • 8
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 9
    裁判沙汰になった300年前の沈没船、残骸発見→最新調…
  • 10
    北朝鮮を訪問したプーチン、金正恩の隣で「ものすご…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 4
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 5
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 6
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 7
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 8
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 9
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
  • 10
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中