最新記事

災害

避難所はペット厳禁!? 米ハリケーンで動物たちにも被害広がる

2017年8月29日(火)17時42分

8月28日、米南部テキサス州を直撃した大型ハリケーン「ハービー」が引き起こした洪水によって避難を強いられた住民の多くは、貴重品だけではなく、犬や猫、鳥などのペットを連れて逃げていた。写真は27日、ペットの犬2匹を連れて避難所に到着した住民(2017年 ロイター/Nick Oxford)

米南部テキサス州を直撃した大型ハリケーン「ハービー」が引き起こした洪水によって避難を強いられた住民の多くは、貴重品だけではなく、犬や猫、鳥などのペットを連れて逃げていた。

「救助ボートから降りる人はみな、犬か猫を抱いていたようだった」。ヒューストン動物愛護協会のモニカ・シュミットさんはそう語る。

ハリケーン「カトリーナ」が南部ニューオーリンズに大きな被害をもたらした2005年には、ペットを残しての避難を拒否する住民がいた。災害対応の専門家はそれ以来、ペットを連れて避難する重要性を強調している。アメリカ動物虐待防止協会(ASPCA)によると、災害対応の連邦政府ガイドラインには、ペットも含まれている。

だが、大規模避難所となったヒューストンのコンベンションセンターでは27日、ペットを巡る対応について混乱と怒りが広がっていた。

犬を連れた住民数十人が、避難所の中にペットは入れないと告げられたり、動物向けサービスは提供していないと言われたりした。ロサナ・ナゲラさん(27)もその1人で、夫と交代で、雨のなか震える飼い犬の世話をしていたという。

28日朝には、コンベンションセンター内の指定された場所にペットが入れるようになり、飼い主の折り畳み式ベッドの横で丸くなる犬の姿がみられた。赤十字の担当者によれば、赤十字の施設ではペットを連れた避難住民を歓迎している。そこではペットを檻に入れたり、外部組織に預けられたりしているという。

ヒューストンの動物シェルター「BARC」はフェイスブックで、ペット禁止の避難所に脇にペット用のトレイラーを設置したと発表した。

当局がペット連れで到着する避難住民の対応に追われる間にも、ハービーは無数のペットを危険にさらしている。

洪水や通行止めのため、動物救助グループの多くは被害を受けた地域に行くことができず、被害の全貌が判明するまでに相当の時間がかかるとみている。カトリーナの場合は、25万匹の犬や猫が死んだり避難したりしたとASPCAは推定している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

マクロスコープ:政府、少額貨物の消費免税廃止を検討

ワールド

ロシア外相、イラン核問題巡る紛争解決に向け支援再表

ビジネス

グーグルのAI要約、独立系出版社からEU独禁法の申

ビジネス

OPECプラス有志国、9月に55万バレル増産へ ゴ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗」...意図的? 現場写真が「賢い」と話題に
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    コンプレックスだった「鼻」の整形手術を受けた女性…
  • 7
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 8
    「シベリアのイエス」に懲役12年の刑...辺境地帯で集…
  • 9
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 10
    ギネスが大流行? エールとラガーの格差って? 知…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 6
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 7
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 8
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 9
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 10
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中